米商品先物取引委員会(CFTC)のクリストファー・ジャンカルロ委員長は2日の講演で、CFTCの取り締まり件数と罰金が前年度に比べて大きく増加したとし、仮想通貨関連の事案にも言及した。

ジャンカルロ委員長は「ミネソタ経済クラブ」で登壇し、9月30日に終了した前年度の取り締まり活動が「CFTCの歴史の中でも最大級」だったと語った。

CFTCは前年度83件の取り締まりを行ったが、これは前政権の最後の3年間と比較すると25%増だ。CFTCが課した罰金は9億ドル(約1000億円)に上った。

CFTCはまた、JPモルガン・チェースやドイツ銀行、バンク・オブ・アメリカなどの銀行の金利操作につながりがあるとされる3000~9000億ドルについて和解にいたった。ジャンカルロ委員長は、昨年度の委員会の取り締まり活動の1つとして仮想通貨にも言及した。

「尻込みすることなく、これらの事案を訴訟に持ち込んでいる。昨年度は当該分野において有意義な勝利が得られた。ビットコイン(BTC)詐欺に関わる訴訟でも勝利し、前例をつくることができた」

委員長はさらに、9月に行った不正規のビットコイン先物業者の告発についても触れた。これは、マーシャル諸島を拠点とする証券ディーラーである1 pool社、および同社のプロジェクトである1broker.comを告発してものだ。

「われわれは、デリバティブに関わる部分の活動について告訴した。SEC(証券取引委員会)は株式に関わる部分を告発し、DOJ(司法省)とFBI(連邦捜査局)はプラットフォームのウェブサイトを差し押さえ、閉鎖する命令を準備した」

今年はじめ、FBIがおとり捜査などで1broker.comの捜査を進め、CTTCとSECが告発した。

CFTCを巡っては今年8月、米裁判所でCFTCの仮想通貨の規制を認める判決が出ている。仮想通貨を使った悪質な詐欺を行ったとしてニューヨークのキャベッジ・テック社の経営者を訴えた裁判で、CFTCの規制の権限が争点となったが、裁判所はCFTCの命令を認める判決を下した。