ベンチャーキャピタルのユニオン・スクエア・ベンチャー(USV)は、今後10年間に渡ってブロックチェーンや仮想通貨に投資をする計画を明かしたとCNBCが29日に報じた。最近は弱気相場が続いているが、USVは長期的に数百兆円規模にも成長するとみられるこの業界に対して楽観的な見方を示している。

 USVのマネージング・パートナであるアルバート・ウェンガーは、この業界の展望について次のように述べた。

 「投資家はこのセクターに対して合理的に資金を投じ続けている。なぜなら将来成功を収めるブロックチェーンのプロジェクトの価値は、1兆ドル、もしくは数兆ドルになるかもしれない。そう考えることは、全く馬鹿げていないよ」

 またウェンガー氏は、アップルの共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏による「ブロックチェーンはドットコム時代に似たバブル」という発言に同調したが、投資を分散させることでリスクを回避できると付け加えた。

 「もちろんあるプロジェクトが機能しない確率は高いかもしれない。だからもし機能したらリターンが高くなるんじゃないか」

 さらにウェンガー氏は、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)にも言及。ICOは「革新的な新たな資金調達メカニズム」と呼びつつも、すべてのブロックチェーンプロジェクトに適切というわけではないと説明した。調査会社のオートノーマス・ネクストによれば、2017年にICOで調達された資金は66億ドルで今年は91億ドルに到達したというが、ウェンガー氏は調達額が必ずしも成功を意味するわけではないと指摘した。

 一方、ビットコインを保有しているとされるウェンガー氏は、個人投資家の投資はリスクが伴うと話した。

 「『ビットコインだけを持ち続ける』と言って投資活動を続けるべきではない。この界隈はかなりリスクを伴う。また誰も全ての貯金を投資するべきではない」

 ニューヨークに拠点があるUSVは、ベンチャー企業投資が専門。フィンテックやネットサービス系などの企業100社に投資をしていて、仮想通貨取引所のコインベースやイーサリアムが基盤のクリプトキティーズなど仮想通貨関連の投資も積極的に行っている。

 4月にUSVは、シリコンバレーのVC大手アンダーセン ・ホロヴィッツとともに米証券取引委員会(SEC)との意見交換の場で、仮想通貨への例外規定を求めた。ICOトークンを投資と見なすべきでではなく、ベンチャー企業のサービスアクセスのために使用できる製品として扱うべきだと主張。そうすればベンチャーは、営業報告や財務報告書といった監査のための書類手続きを経ることなく、トークンセールをすることができるようになるだろうと両社は説明していた。