これまで、通貨・貨幣(前編中編後編)、資産テクノロジーの側面からビットコインを眺めてきた。いよいよ最終章として、ビットコインの課題と今後について書いていこうと思う。今までの連載の総集編のようなものである。

 

通貨・貨幣としての課題・今後

通貨・貨幣としてのビットコインの課題と今後はどうであろうか。第1章「通貨・貨幣としてのビットコイン」前編中編後編で述べたように、理屈の上では、ビットコインが通貨・貨幣となりうることを否定することはできない。加えて、ビットコインが、国が定める法定通貨に代わって、通貨として使用される事例が現実に発生している。
ベネズエラでは自国の通貨がハイパーインフレーションに陥り紙くず同然となってしまった。そこで、自国通貨ではなくビットコインでの決済を受け付ける店舗が出てきている。それは昼食代の支払いという身近な支払いにおいてもだ。ビットコインのほうが法定通貨よりも、安定し、信頼され、利用されているという現象が発生しているのだ。

 

※参考
今、主権国家のビットコイン化が初めて起きている

https://jp.cointelegraph.com/news/first-bitcoinization-of-a-sovereign-state-is-happening-now-jp
 

 

ビットコインは、ボラティリティが高い、使用できる場所が少ない、クレジットカード等既存の決済手段に比べ利便性が劣る等々の課題が依然として残るため、通貨・貨幣として確固たる地位を確立するのはまだまだ先の話であろう。ひょっとするとそもそもそのような時は訪れないのかもしれない。しかし、理屈の上でも、現実問題としても、ビットコインが、通貨・貨幣として機能しているという事実は、ビットコインの持つ大きな可能性を感じさせるものだと私は考える。

 

資産としてのビットコインの課題と今後

資産としてのビットコインについて、、第2章「資産としてのビットコイン」で述べたように有効な資産になりうると考えている。しかし、なんといってもビットコインはまだ歴史が浅い。生誕約10年のビットコインが、5,000年もの年月を耐え資産として確固たる地位を築いた金のような存在となるのか、はたまた一瞬価格が高騰した後に急落したチューリップのような存在となるのかはまだわからない。

ビットコインを投資先として考えている方は、価格が急落する可能性があることを理解した上で投資を行うべきであろう。

 

テクノロジー面での課題と今後

ビットコインのテクノロジー面の課題と今後については、第3章「ビットコインを支えるテクノロジー」の章でも言及しなかった。というのも、スケーラビリティ問題など課題はいくつかあるのだが、そういった話は本連載に持ち込むには複雑すぎると考えたからだ。とはいえ、テクノロジー面の課題及びその解決に向けてどのような提案がなされているかについては、大変興味深いところなので関心を持った方はぜひ調べてみてほしい。

 

最後に

本連載の目的は、「ビットコインについての知識が全く無い人も連載読了後にはビットコインについてある程度理解できるようになること」、そして「ビットコインについて興味を持ってもらうこと」であった。連載を終えた今思うのは、その目的が少しでも達成できていれば良いということである。

 

本連載の執筆や仮想通貨関連の記事を追いかけていて気付いたのだが、ビットコインそしてその他仮想通貨を投資・投機の対象としてみる方が非常に多いということだ。それ自体、特に問題があるわけではないのだが、私としては ”ビットコイン・仮想通貨” の存在それ自体が、知的好奇心を大いに刺激するものだと感じている。サトシ・ナカモトに端を発したこの壮大な社会実験、変革が今後どうなっていくのか、その行く末を追いかけることは非常に面白いことだと思うので、ぜひ目を向けてみて欲しい。

 

※今までの記事一覧