前回の章で、通貨・貨幣としてのビットコインについての説明をした。この章では資産としてのビットコインについて話していこう。
一口に「資産としてのビットコイン」と言っても、貴金属など他の資産との比較や他の仮想通貨との比較、長期保有か短期保有か等々、様々な切り口で語ることができ、本章で全てを網羅することは不可能である。そこで、ここでは、ビットコインという「ただの英数字の羅列」になぜ値段がつくのか、現在のビットコイン価格はバブルなのか、ビットコインは商品としての価値を高め続けられるのかという、資産としてのそもそもの話にフォーカスして説明していこうと思う。
なぜビットコインに値段がつく?
ビットコインは、言ってしまえばただの英数字の羅列である。ところがここ数週間の間に一時期は50万円を突破した。その後急落するも現在はまた40万円台(9/20現在)にまで回復している。(ちなみに、筆者がはじめてビットコインを買った本年の2月には13万円ほどであった。)
今のところ日本では、徐々に増えてきているとはいえ、ビットコインを支払い手段として使用できる場所は少なくそれ自体の価値を感じることはあまりないだろう。例えば、ブランドもののカバンを例にとれば、ものを入れて持ち運びができるという機能や持ち歩くことによる社会的ステータスの獲得できるという価値があるであろうが、ビットコインを使用することによって得られる価値はそれほど多くはないはずだ。
そうであるにも関わらずこれほどの値段が付くのはなぜであろう?
これはそれほど難しい話ではない。結局のところものの価格は、需給関係、つまり市場にどれだけそのものが存在し、どれだけの人が欲しているかによって決まる。ビットコインの使い途が少ないことや、ビットコインがただの数字の羅列であるというのはどうでもよいことなのである。
現状、ビットコインに価格がついているのはどんな理由にせよ(例えばそれが投機目的であろうが)人々が欲しいと思っているからである。
現在のビットコイン価格はバブル?
ビットコインの急激な価格上昇、そしてその実態の無さからか、「ビットコインはバブルである」ということが言われる。とはいえ、そもそもバブルとは何なのか?そこを考えなければビットコインがバブルにあたるのかを判断するのは難しいであろう。
そこで、まずバブルとは何かを見てみよう。
経済学の定義では、バブルとは「ファンダメンタルズ価格(理論価格)から離れた資産価格の動き」とされている。ファンダメンタルズとは、雇用・生産・物価などの経済の基礎的な事項を指す。それら基礎的な事項を元に、金利や資産価格などが正当化される。
※参照
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%96%E3%83%AB%E7%B5%8C%E6%B8%88#cite_note-2
とのことである。
ビットコインという新しい概念において何がファンダメンタルズとなるのかは難しい問題である。ビットコインコミュニティへの参加人口の増減、大企業のビットコイン採用・事業参画等々様々な理由が述べられている(※参考:bitcoin newsの山崎大輔さんの記事)ものの、明確に定まっているわけではない。
ファンダメンタルズがわからないがゆえ、Bitcoinのファンダメンタルズ価格、適正価格がどの程度のものなのかは明確に判断できない。だからビットコインの価格が適正かどうか判断するのは現時点では難しいというのが、私見である。
ビットコインは商品としての価値を高め続けられるのか
仮に現在のビットコインがバブルで、それが弾けたとして一定の価格を維持することはありうるだろうか。もし維持することがありうるのであれば、金のように有効な資産となりうると言えそうである。
ビットコインは物としての実体があるわけではないが、どこへでも持ち運べて、あらゆる場所で価値を失わないものであるという点で、金と似通っていると言える。
とはいえ、金が価値のある商品として確立されてから5000年以上経っている一方で、ビットコインは長くても2年ほどしか経っていない。金は長年価値のある商品として機能してきたという事実からその価格が一時的に下がったとしても、また上がると人々に思われている。一方でビットコインにはその歴史的積み重ねがないので、市場に価値ある商品として残り続けるかはわからないというのが現状であろう。
ビットコインは金のような価値のある商品として確立する可能性はあるものの、ドットコムバブル、チューリップバブルのように一時的なバブルという結果に落ち着くかもしれないということである。
本章のまとめ
-
ビットコインに値段が付くのは不思議な事ではない。
-
現在の価格がバブルかどうかはわからない。
-
有効な資産(価値のある金融商品)となりうる可能性は秘めている。
-
ただし、ビットコインが価値のある商品として確立するか現時点では不明。
本章まで、「通貨・貨幣としてのビットコイン」、「資産としてのビットコイン」の話は終了した。
次回からビットコインを支えるテクノロジーについて解説していこう。
【免責事項】
投稿には筆者の主観的な情報が含まれており、正確な情報を提供するものではありません。この情報は投資利益を保証するものではなく、相場の変動や状況の変化により損失を出す場合がございます。投資を行う場合には、最終的にご自身の判断と責任において行いますようお願いたします。