ウクライナでビットコイン(BTC)を国家準備資産に加える動きが進んでいる。ロシアとの戦争が長期化する中で、財政基盤の強化を目的とした取り組みとされる。

地元メディアのインクリプテッドによると、ウクライナ議会のヤロスラフ・ジェレズニャク議員は、ビットコイン準備資産に関する法案が最終段階にあると語った。

この構想は、2月6日にキーウで開催された「CRYPTO 2025」カンファレンスで初めて発表されたもの。ジェレズニャク氏は当時、「法案をまもなく提出し、仮想通貨準備金の創設を可能にする」と述べていた。

コインテレグラフはジェレズニャク氏にコメントを求めたが、記事公開時点では返答を得られていない。

2024年11月のトランプ氏の米大統領再選を契機に、ビットコインを国家準備資産として採用する構想は各国で注目されるようになった。

トランプ氏は2025年3月7日、犯罪事案で押収されたビットコインを原資とする準備金の創設を命じる大統領令に署名している

その1カ月後には、スウェーデンのリッカルド・ノルディン議員が財務大臣に宛てた公開書簡で、インフレヘッジとしてのビットコインの有効性を訴え、国家準備資産としての採用を提言した

法制度面の課題がネックに

ただし、ウクライナにおけるビットコイン準備金の導入には、法的な整備が不可欠とされる。バイナンスの中東欧・中央アジア・アフリカ地域責任者キリロ・ホミャコフ氏はコインテレグラフに次のように述べている。

「ウクライナの戦略的な仮想通貨準備構想は評価に値するが、実現には大幅な法改正が必要になる。すぐに実施できるものではない」

「とはいえ、政府がより明確な規制方針を定める契機となる可能性が高く、規制の透明性向上につながるだろう」とも語っている。

現地からは懐疑的な声も

一方で、ウクライナ国内の仮想通貨業界からはタイミングに対する懸念も出ている。

「この国は破綻状態にある。予算の50%以上はEUからの補助金や融資で賄われている」と語るのは、ウクライナの仮想通貨取引所クーナ創業者のミハイル・チョバニアン氏だ。

「人口は世界最速で減少しており、男性は意に反して徴兵されている。こんな状況でどんなビットコイン準備金の話をしているのか?これは注意をそらすための政治的パフォーマンスにすぎない」と主張した。

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