米内国歳入庁(IRS)は追跡不可能とされているモネロ(XMR)のようなプライバシーコインを解読すると共に、ビットコイン(BTC)のライトニングネットワーク上のトランザクションを追跡できる者に最高で62万5000ドルの報奨金を支払うと発表した。

先週発表されたプロポーザルによると、IRSは9月16日までワーキングプロトタイプの形での提出を受け付けるという。もし採用されれば、応募者には頭金として50万ドルが支払われる。

応募者はこの頭金により、その後8カ月かけてプロトタイプに磨きをかけ、ワーキングコンセプトを作り上げる。パイロット実験が完了して政府の承認が得られれば、さらに12万5000ドルの助成金が授与される。

IRS-CI(IRS犯罪捜査局)は1社もしくはそれ以上の業者が、専門ツール、データ、ソースコード、アルゴリズム、ソフトウェア開発サービスなどのプライバシーコインの属性と追跡に革新的なソリューションを提供してくれることを期待している。

今回の発表はこの取り組みの主な目的を、IRS犯罪捜査局(CI)の特別捜査官がウォレットや取引日時、送金額といったトランザクションを追跡できるようにすることだと定義している。IRSは、フラグを付したアドレスの将来的トランザクションを予測することにも、こうしたツールを使用できればと期待している。CIが外部の業者に頼らずにすむようにするために、最終的な製品はCIがさらに開発したり修正したりできるよう、CIに完全なコントロールを提供するものでなければならない。

モネロはビットコインのようなより追跡しやすい仮想通貨(暗号資産)よりも犯罪グループに好まれている仮想通貨の1つである。XMRはランサムウェア・グループ「Sodinokibi(ソディノキビ)」の「プライバシーの懸念」ゆえに、同グループによるトランザクションと将来のすべての身代金要求に使用されていると、IRSは言及した。

当局が仮想通貨分析捜査の能力を高め、チェイナリシスのような業者の技能を採用する中、プライバシーコインに対する犯罪組織の需要は高まりを見せてきた。近年、チェイナリシスはビットコインその他の仮想通貨トランザクションの追跡において法執行機関を支援し、児童虐待や資金洗浄、テロリストへの資金提供との戦いに成功を収めてきた。先月もチェイナリシスは3つのテロ組織の解体で重要な役割を果たした。

プライバシーコインは犯罪者がトランザクションを難読化するための主な戦略となっており、IRSは次のように述べている。

不法者にプライバシーを提供するモネロその他のオフチェーン・トランザクションのようなプライバシー仮想通貨コインにまつわるトランザクションを追跡するための捜査資源は、現在のところ限られている。

ブロックチェーンの分析企業、サイファートレース(CipherTrace)は、モネロのトランザクションを追跡できる新たなツールを獲得したとしているが、その能力は未確認である。1年以上かけて開発されたこのツールは、米国土安全保障省が使用することになると同社は発表した。サイファートレースのチーフ金融アナリスト、ジョン・ジェフリーズ氏によると、このツールはランサムウェアのようなケースにおいて、違法トランザクションに使用されたモネロ、あるいはXMRをそのソースまで辿ることができるという。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン