テザー・ホールディングス・リミテッドが、利益で得た数十億ドルの資金を活用するため、コモディティ取引会社への融資を検討しているという。10月14日にブルームバーグが伝えた。
USDTを発行するテザーは、複数のコモディティ取引企業と米ドル建ての融資の可能性について話し合ったとされている。コインテレグラフはテザーにコメントを求めたが、記事執筆時点で返答はない。
話し合いの中で、テザーはUSDTが一般的なコモディティ取引に関与する可能性も探ったとされる。コモディティトレーダーは、石油や貴金属などのコモディティの国際輸送をファイナンスするために、信用供与に大きく依存している。先物やスワップなどのコモディティデリバティブを専門とする企業も、取引の資金調達に信用供与を利用する。現物仮想通貨価格に連動する先物は人気が急上昇している。
Source: CME Group
先物契約は、将来の特定の日に特定の資産を売買するための契約だ。これらは、機関投資家がリスクを管理するためのヘッジ戦略において重要な役割を果たしている。また、先物契約は、レバレッジを使って相場の方向性に賭ける投機の手段としても人気がある。
米国商品先物取引委員会(CFTC)が9月に提出した報告書によると、先物やオプション取引を専門とするブローカーが顧客資金として預かる総額は、およそ2900億ドルにのぼる。
先物のポジションは、通常、レバレッジを利用して資金調達される。契約の全額が前払いされるわけではなく、その一部のみが担保として「証拠金」として差し入れられる。
7月31日の発表によると、テザーは2024年上半期に過去最高の52億ドルの利益を計上し、米国政府債券の保有量もこれまで以上に積み増している。
この成長は、ステーブルコインであるUSDtの拡大を反映している。同社によれば、USDtは米ドル建ての流動性資産によって1:1で裏付けられている。これらの数字は、独立会計事務所BDOによる証明に基づいている。
Source: CoinMarketCap
10月14日現在、USDTの時価総額は約1,200億ドルに達している。テザーは、持続可能なエネルギー、ビットコインマイニング、データ、AIインフラ、ピアツーピア通信技術、ニューロテック、教育などの関連産業に利益の一部を再投資していると語った。
ブルームバーグとのインタビューで、テザーのCEOであるパオロ・アルドイーノ氏は、同社がコモディティ分野での機会を模索しているとし、まだ「初期段階」にあると述べた。「コモディティ取引にどれだけ投資するつもりかは公表しない可能性が高い。戦略をまだ定義している段階だ」とアルドイーノはブルームバーグに語った。