米議会上院の銀行委員会は7月30日、公聴会「仮想通貨とブロックチェーンに関する規制フレームワークの検証」を終えた。上院議員からは、米国はこの分野における世界のリーダーとしての立場を確立すべきとの意見から、懐疑的な意見まで見られた。
公聴会には、仮想通貨規制の不透明さを訴えてきた仮想通貨決済企業サークルのジェレミー・アレールCEOや議会調査局のレベッカ・ネルソン氏、カルフォルニア大学アーバイン校の法学教授メーサ・バラダラン氏が証言に立った。
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ブロックチェーン技術 中国に警戒感も
米上院銀行委員会で委員長を務める共和党のマイク・クラポ議員は、仮想通貨とブロックチェーン技術は避けられず、有益である可能性があるとし、米国はこの分野のグローバルリーダーとしての立場を確立すべきと述べた。
「私は、この技術の最前線に米国が居続けるようにしたい。リスクもあるが、極めて大きな可能性がある」
民主党のキャサリン・コルテズ・マスト議員は、「ブロックチェーンの可能性を信じており、この技術において中国をリードすることは重要だ」と述べた。
リブラには多くの懸念
多くの政治家らの間では、仮想通貨といえばフェイスブックの独自ステーブルコイン「リブラ」が同義語となっている。民主党のシェロッド・ブラウン議員は、フェイスブックは「何度も何度も彼らは信頼できないと証明してきた」とし、「改革」の言葉の裏には、米ドルや決済システムをむしばむ意図があると主張した。
議会調査局のネルソン氏は、ブラウン氏の発言をかわし、フェイスブックは仮想通貨の流れを変える可能性があるとしたが、規制およびシステミックな懸念はあるとした。また、フェイスブックは仮想通貨についての議論に変化をもたらしたとも述べた。
民主党のマーク・ワーナー議員は、リブラが米ドルに1対1で、という言葉の意味について質問。サークルのアレールCEOは、こういったタイプの仮想通貨の第一波はグローバルなデジタル通貨の確立に焦点を当てており、本流の金融サービス分野でのユースケースにはステーブルコイン、例えばリブラ、の開発が必要と説明した。
アレールCEOはさらに、米政府の仮想通貨関連企業に対する制限的なスタンスは、こういった企業を国外へ追いやると指摘し、デジタル資産を規制する必要性を強調。しかし、議会はデジタル資産を「新たな資産クラス」として定義すべきとし、以下のように述べた。
「デジタルマネーは、世界のあらゆる場所で、高いレベルのセキュリティとデータ保護のもと、インターネットの速さによってもっと摩擦なく移動するだろう」
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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版