SBIホールディングスの北尾吉孝CEOは、3月期の決算発表会でリップル社の役員に就任したことを報告し、リップル社の独自決済ネットワーク「RippleNet(リップルネット)」の顧客を現在の200以上から1万に拡大することを目標に掲げるなど、リップル社での抱負を述べた。

北尾氏は、仮想通貨XRPをいかに普及させるかが肝心と指摘。その上で米国でXRPが有価証券かどうかを巡ってSEC(証券取引委員会)がまだ判断を下していないことが、XRPが世界の時価総額3位にとどまっている理由と主張し、次のように続けた。

「セキュリティ(証券)だという風にSECも結論を出せないレベルにきているのではないか。コインとして扱われるようになるだろう。そしてコインとして扱われるようになるには、3~5年かかるだろう。SECはずっと結論を出さないままで物事を進行していくのではないかと思っている」

現在のところ時価総額1位のビットコインに関しては、SECのクレイトン委員長が「ビットコインは証券ではない」と話したほか、時価総額2位のイーサリアムに対しても先月、クレイトン委員長が証券ではないとの見解を支持する姿勢を見せた。

そんな中、北尾氏が課題にあげたのは、リップル社の国際送金サービス「xCurrent 」と「xRapid」をどのように普及させていくか。北尾氏は、目指す場所は「デジタルアセット版のSWIFT」を作ることであるから、「リップルネット」の顧客が200になったくらいで喜んではダメだとし、「やはり世界中で1万くらい持ってこないとだめだ」と主張。そのためには、大手の送金業者を中心に主要な金融機関を説得しなければならないと話した。北尾氏は、自身が持つ世界中のネットワークを駆使して、人を動かしていきたいと語った。

海外送金を手がけるSBIレミットに関しては、「早急にxRapidとはいかなくともxCurrent を使って海外送金をすることを検討している」という。

また、リップルと米フィンテック企業R3の橋渡し役を務めたいと改めて話した。リップルとR3は17年にXRP購入の合意を巡って法廷闘争を繰り広げていたが、昨年9月に和解が成立。北尾氏は両者に対して和解をするよう促してきたという。

R3の分散型台帳技術コルダに関しては、「送金はリップル」でそれ以外の証券や保険などの領域でも積極的に活用してくく方針を務めた。

R3は、300社以上のエコシステムの基盤となる分散型技術はコルダを手がけている。すでに90種類のアプリが誕生しており、その中の1つがクロスボーダー(国をまたいだ)送金向けのアプリケーション「コルダ・セトラー」。昨年、仮想通貨XRPを仮想通貨として初めてサポートすると発表したことから、注目を浴びた。

北尾氏は、役員としてのリップル社での仕事に対して、次のように自信を見せた。

「私の持っている構想をどんどん本体の役員会にぶつけていこうと思う。Think Big(大きく考える)ということでは、どうも見ている限り僕が最高かな。向こうの役員の経歴などを見ていたが。それと事業をゼロから作ってここまで持ってきたという実績を持っている人はいない」