SBIホールディングスの北尾吉孝社長は3日、日経新聞に対し、大阪・神戸地区を国際金融都市とする構想の中で、デジタル証券(ST:セキュリティ・トークン)の取引所を設立すると明らかにした。

北尾社長は新たな資金調達手段として期待されるデジタル証券のSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)の普及を進める日本STO協会の会長を務めている。

大阪・神戸地区を国際金融都市とする構想を進める北尾社長は、大阪府や政府との連携に動き出しているという。

香港国家安全維持法が施行されたことで、東京への国際金融都市構想がささやかれる中で「東京に一極集中するだけではリスク」として、大阪や神戸に軸足を置く構想を明かした。

日経によると、北尾社長は8月上旬にも大阪府の吉村洋文知事と面会し、「大賛成だ」との賛同を得たという。

さらに8月下旬には自民党総裁選に出馬している菅義偉官房長官にも構想を説明した。

SBIはセキュリティ・トークンを売買できる取引所を設置する他に、フィンテック企業の招致にも力を入れ、今後出資する際には「大阪・神戸に日本拠点を置くことを条件にする」とまで力を入れる。

SBIは6月に開かれた経営近況報告会の中で、シンガポールにデジタルアセット関連会社の新会社設立や、国内でのSTOのセカンダリーマーケットの整備を進める方針を発表。発行を行うプライマリーマーケットとともに、トークン保有者が売買を行うセカンダリーマーケットをPTS(私設取引システム)で整備する考えを示した。

セキュリティ・トークンの取引所開設に関しては2020年2月に時事通信のインタビューで、2020年度中にも私設取引所を設立する方針を明らかにしている。私設取引所はSBI単独ではなく、複数の証券会社と共同で行う方向で調整していた。