イーサ(ETH)は、ネットワークアクティビティの回復、総ロック価値(TVL)の増加、強気のテクニカル指標といった複数の要因を背景に、心理的節目である3000ドルの回復に向けた態勢を整えつつある。
イーサ、下落トレンドからの反転を模索
ETHは、昨年12月中旬に付けた10か月ぶりの高値4100ドルから反落して以降続いていた下落トレンドに終止符を打ちそうだ。
テクニカルアナリストのミキーブル・クリプト氏は、ETHが6か月間続いた下降トレンドラインを突破したチャートをXに投稿し、「ETHがブレイクアウトした」と述べ、2000ドルと2250ドルを重要なレジスタンス水準として挙げた。
マクロ経済の緊張が緩和した4月22日、ETHは1600ドルの水準でトレンドラインを上抜け、市場全体の反発を先導した。
現在、50日間単純移動平均線(SMA)である1775ドルが短期的なサポートとして機能している。
相対力指数(RSI)も24時間で56から66まで急上昇しており、強気の勢いが増していることを示唆している。
上昇時の注目水準としては、2100ドルの100日間SMA、および2500〜2800ドルの供給密集帯が挙げられる。後者は200日間SMAとも重なっており、このゾーンを突破できれば、ETHは3000ドルの短期目標に向けてさらに上昇する可能性が高まる。
アナリストのクリプト・クローズ氏は、ETH/USDが「強気反転の準備が整った」と述べ、目標レンジを2500〜3500ドルに設定している。
また、クリプト・サラマンカ氏も「ペクトラ・アップグレードによるモメンタムにより、ETHは今後数週間で2150〜2700ドルを目指す可能性がある」とXで発言した。
イーサリアムのオンチェーン指標にも回復の兆し
イーサリアムは、TVLベースで依然として最大のレイヤー1ブロックチェーンであり、分散型取引所(DEX)取引高では第2位に位置している。
TVLは4月9日の445億ドルから5月8日には528億ドルまで増加した。
さらに、ブラックロックのデジタル流動性ファンド「BUIDL」への預入が50%増加、Sparkが33%、Ether.fiが25%と、主要アプリケーションでの利用も拡大している。
1日あたりのトランザクション数も過去1か月で22%増加し、134万件に達している。
ただし、イーサリアムの手数料は年初来で95%減少しており、これがETH価格の3000ドル到達を遅らせる要因になる可能性がある。
取引手数料が低下すれば、ネットワークにおけるETHのバーン(焼却)量も減少し、発行されるステーキング報酬のほうが上回るため、ETHはインフレ的な傾向になりやすい。
加えて、米国上場の現物イーサ上場投資信託(ETF)は、5月5日から7日にかけて3970万ドルの純流出となり、同期間にビットコインETFが4億8200万ドルの純流入を記録したのとは対照的であり、ETHの回復に対する懸念材料ともなっている。
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