仮想通貨の取引や決済の合法化に対し曖昧な態度をとっているロシア政府が、大手仮想通貨マイニング企業との結びつきの構築を継続している。

ロシアの大手国営石油会社ガスプロムネフチは、6月16日、主要仮想通貨マイニング企業に対しホスティングサービスを提供しているロシア最大の仮想通貨マイニング・コロケーションサービスのサプライヤーであるビットリバーと業務提携を結び、石油精製に付随して生じるフレアガス(遊離天然ガス)を利用して発電した電力をビットリバーのデータセンターに提供することを両社が正式に発表した。

両社による協業の一環として、ビットリバーは、ガスプロムの油田を基盤とするデジタル・インフラストラクチャを開発し、フレアガスを利用した仮想通貨のマイニングサービスを提供することになる。

ガスプロムのCEO代理であるヴァディム・ヤコブレフ氏は、ガスプロムのビジネスモデル自体はデジタル資産への関与を視野には入れていないことを強調しており、むしろ「付随して生じるフレアガスの新しい有益な利用法」を実現にすることによって再生可能エネルギーの実用化と、エネルギー資源の利用の最適化を図ることを目指しているとして、以下のように述べている。

「二酸化炭素排出量の削減は、ガスプロムネフチのESGポリシーに不可欠な要素である。 [中略]両社のテクノロジーとコンピテンシーを融合することで、天然資源を効率的かつ環境に優しい方法で利用するための業界のベストプラクティスを創造するものである」

ガスプロムは、ロシア最大の石油およびガス会社の1つであり、また欧州連合(EU)への最大のガス供給業者の1つでもある。伝えられるところでは、19年の時点でのガスプロムの炭素排出量は世界第3位にランク付けされているとのことである。

今回の発表によれば、フレアガスを動力源とする仮想通貨のマイニングプロジェクトは、特にガス輸送のためのインフラ設備が確立されていない新しい油田で取り組むことを念頭に置いており、また別のオプションとしては、電力が余り、フレアガスが利益を生み出していないシベリア地方の僻地にある油田でそのような開発を行う場合が考えられるとのことである。

ビットリバーの設立者兼CEOのイゴール・ブルネット氏は、ガスプロムとの新しい提携関係は、今後2年間で総電力容量を2ギガワットへと増大するという同社の野心的な計画の一環であると述べている。