現在の仮想通貨市場の調整は、強気相場の終盤ではなく中盤に過ぎないとの見方が広がっている。その根拠の1つが、ステーブルコイン供給量の着実な増加であり、これはさらなる投資資金の流入を示唆する可能性があるとアナリストは指摘している。

ステーブルコインの総供給量は2190億ドルを超え、現在のサイクルが天井に達していないことを示唆している。

Source: IntoTheBlock

歴史的に、ステーブルコイン供給量のピークは仮想通貨市場のサイクルトップと一致してきた。仮想通貨分析プラットフォームIntoTheBlockは、3月14日のX投稿で次のように指摘している。

「2022年4月、ステーブルコイン供給量が1870億ドルに達した時、仮想通貨市場は弱気相場に突入した。しかし、現在の供給量は2190億ドルに到達し、なお増加傾向にある。これは市場が依然としてサイクル中盤にあることを示している」

ステーブルコインの取引所流入が増加することは、仮想通貨への新たな買い圧力と投資意欲の高まりを示す重要なシグナルとされる。

ステーブルコインは、法定通貨から仮想通貨市場への主要な資金流入経路であるため、この増加は市場の上昇継続を示唆している。

それにもかかわらず、イーサリアム(ETH)の価格は過去3カ月で52%下落しており、2024年12月16日に4100ドルを超えた後、現在は1900ドルを割り込む可能性が指摘されている。この1900ドル付近は強力な需要ゾーンとみられており、さらなる資本流入を呼び込む可能性がある。

FOMC会議を前に市場の方向感が欠如する可能性

ステーブルコイン供給量が増加している一方で、今後の仮想通貨市場は米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に方向感を欠く展開となる可能性がある。

来週のFOMCは仮想通貨市場にとって決定的な要因となる可能性があると、デジタル資産投資プラットフォームNexoのアナリストであるステラ・ズラタレバ氏は指摘している。

ズラタレバ氏は「ビットコインが重要なテクニカルレベルを下回る動きを見せ、S&P500の動向を反映していることは、市場が慎重な姿勢を取っていることを示している。今後の方向性を決定する重要な経済指標として、米国小売売上高やFOMCが注目されている」とコインテレグラフに語る。

「特に、3月19日のFOMC会議には市場の注目が集まっている。米国の金融政策や金利調整の可能性についての見通しが示されるだろう。最近の米国生産者物価指数(PPI)や新規失業保険申請件数の減少が、経済成長の鈍化を示唆しているためだ」

この予測は、3月19日に予定されている次回FOMCを前にしたものである。現在の市場予想では、米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を据え置く確率は98%と見積もられている

Source: CME Group’s FedWatch tool

短期的な価格変動の懸念はあるものの、投資家の間では2025年の仮想通貨市場に対する楽観的な見方が続いている。

ヴァンエックは、2025年のサイクルピークでイーサリアム(ETH)が6000ドル、ビットコイン(BTC)が18万ドルに達すると予測している