資産運用は、金融商品を買って終わりではない。運用を長く続けていると、価格変動によって当初のアセットアロケーションは崩れてくるため、アセットアロケーションを元に戻す「リバランス」が必要になる。

リバランスが必要であることは理解できても、具体的なやり方はよくわからないのではないだろうか。今回は、リバランスが必要な理由や行うタイミング、注意点について詳しく解説する。

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リバランスとは

リバランスとは、価格変動によって当初の割合から大きく崩れたアセットアロケーションを元に戻すことだ。

たとえば、「株式50%、債券50%」で運用を始めたが、時間が経過して「株式70%、債券30%」に比率が変化したとする。運用商品を売買して、当初の「株式50%、債券50%」に戻す作業がリバランスだ。
資産運用では、定期的にリバランスを行うほうが運用成績は向上すると言われている。

リバランスとは、当初設定したアセットアロケーションが大きく崩れた際に元に戻す作業のこと

なぜリバランスをすべきなのか

個人が資産運用で安定的に資産を増やしたい場合、リバランスは重要な役割を果たす。リバランスが必要な理由は以下の通りだ。


最適な資産配分を維持できる

アセットアロケーション(目標となる資産クラスの割合)はライフプランや目標額に応じて設定するのが一般的だが、長期で資産運用を行っていると、価格変動によって、その資産の割合が崩れていく。資産配分が大きく崩れた状態で運用を続けると、長期的にはパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があり、資産運用の計画が達成できない事態に陥ってしまう。

定期的にリバランスを行うことで、自身が設定した最適な資産配分を維持できる。


リスク軽減につながる

資産配分が変化すると、リスクを取りすぎている状態になることがある。

たとえば、「株式50%、債券50%」の配分比率が、株価上昇によって「株式80%、債券20%」に変わったとしよう。株式の比率が上がったことで、当初に比べてリスクを取りすぎている。

この状態で株価が急落した場合、リスク許容度を超える損失が生じるかもしれない。リバランスによって定期的に資産配分を元に戻すことは、リスク軽減につながるのだ。


運用効率の向上が期待できる

先程のケースとは反対に債券の比率が増えすぎると、リスクが低すぎて運用効率が下がってしまう。

たとえば、「株式50%、債券50%」で運用を始めたが、株価が下がって「株式30%、債券70%」になるようなケースだ。リスク許容度に対してリスクが低すぎる状態となっているため、機会損失になってしまう。

このような場合は、リバランスで当初の比率に戻すことで、運用効率の向上が期待できる。


リバランスのタイミング

長期の資産形成では、短期の価格変動に一喜一憂することなく、資産や地域を分散した積立投資を長く続けることが重要だ。

リバランスがリスク軽減や運用効率の向上につながるとしても、評価額の変動を常に気にしていると、資産運用を続けるのが難しくなる。リバランスはいつ、どのようなタイミングで行えばよいのだろうか。

ここでは、リバランスを検討する3つのタイミングを紹介する。


年1回などの決まったタイミングで行う

リバランスは、年1回などの決まったタイミングで行うのが一般的だ。リバランスの頻度は「毎月」「四半期ごと」「半年ごと」などさまざまだが、個人の資産形成では年1回運用状況をチェックして、必要に応じてリバランスを行えば十分だ。

運用状況をチェックしたときに、それほど資産配分が崩れていなければ、無理にリバランスを行う必要はない。

「当初の資産配分から10%以上変動したらリバランスを行う」のように、自分なりの運用方針を決めておくと判断しやすいだろう。


当初の資産配分が大きく崩れたとき

前回のリバランスからあまり時間が経過していなくても、当初の資産配分が大きく崩れたときは、リバランスを検討するタイミングだ。具体的には、短期間で株価が30%以上下落するような場合は、必要に応じてリバランスを行ってもいいだろう。

たとえば、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックのようなケースだ。リバランスを行うことで、長期的にはリスク軽減や運用成績の向上が期待できる。


ライフプランが変わったとき

「子育てが終わった」「定年退職して年金生活に入った」など、ライフプランが変わったときもリバランスを検討するタイミングの1つだ。

正確には、アセットアロケーション(目標資産配分)自体を見直す必要がある。ライフプランが変わると、リスク許容度も変化するからだ。

働ける期間が長い若い世代は、損失が出ても勤労収入でカバーできるため、比較的大きなリスクをとれる。しかし、高齢になると運用損失による経済的打撃が大きくなるので、年齢とともにリスク許容度は下がる。

ライフプランが変わったら、アセットアロケーションを見直そう。そして、リスクを取りすぎている場合は、リバランスでリスクを軽減することが大切だ。

リバランスのタイミング3つまとめ

リバランスのやり方

リバランスは、複数のやり方がある。どんな方法があるのかを理解し、自分に合ったやり方を選択するといいだろう。自分でリバランスを行うのが面倒な場合は、リバランスが不要な商品・サービスを選ぶのも1つの方法だ。

ここでは、リバランスの方法を5つ紹介する。


割合が減った資産を買い増しする

価格変動によって割合が減った資産を買い増して、当初の比率に戻す方法だ。

たとえば、「株式50%、債券50%」で運用を始めたが、「株式70%、債券30%」に変化したとしよう。この場合、債券を追加購入すれば比率を元に戻せる。

増えた資産を売却すると利益に課税されてしまうので、買い増しによるリバランスは理想的な方法といえる。ただし、追加投資が必要になるため、お金に余裕がないと手元資金が不足する可能性がある点に注意が必要だ。


増えた資産を売って減った資産を買う

割合が増えた資産を売却し、その売却代金で割合が減った資産を購入する方法だ。先程の「株式70%、債券30%」に変化したケースなら、株式を売却して債券を購入することで、元の比率に戻せる。

この方法は追加投資が必要ないので、すぐにリバランスができるのがメリットだ。一方で、売却益に課税されてしまうため、運用効率が下がるデメリットもある。

資産配分が大きく崩れているが追加投資が難しい場合は、この方法を選ぶといいだろう。


積立金額を調整する

積立投資を行っている場合は、積立金額を調整してリバランスを行う方法もある。

たとえば、株式と債券を積み立てているときに、株式の比率が増えすぎたとしよう。一時的に株式の積立をやめて債券の積立金額を増やせば、しばらくすると元の資産配分に戻る。

追加投資が必要ないので、すぐに対応できるのがメリットだ。一方で、資産配分が元に戻るまでに時間がかかるデメリットもある。

NISA口座で運用している場合など、運用商品をなるべく売却したくない場合はこの方法を選ぶといいだろう。


ロボアドバイザーでリバランスを自動化する

ロボアドバイザーとは、人口知能(AI)を活用した資産運用サービスだ。提案されたポートフォリオに問題がなければ、運用商品の選定・売買、リバランスまで、資産運用のほとんどを自動化できる。

選択した運用プランに応じて、ロボアドバイザーが定期的にリバランスを行うため、自分で資産配分を元に戻す必要がない。投資初心者や資産運用に手間をかけたくない人に向いている。

ただし、運用商品のコスト(信託報酬・経費率)に加えて、運用を任せるための手数料がかかるので、自分で運用するよりコストは割高になる。

どうしても自分でリバランスをするのが難しい場合は、ロボアドバイザーは選択肢の1つとなるだろう。


バランス型投資信託を活用する

バランス型投資信託とは、1本で国内外の株式、債券、不動産などに分散投資ができる投資信託だ。

あらかじめ決められた資産配分を維持しながら運用してくれるため、バランス型投資信託1本で運用を行えば、リバランスは不要となる。販売手数料や信託報酬が低い商品を選択すれば、運用コストも抑えられるだろう。

ただし、バランス型投資信託は、運用途中でアセットアロケーションを変更できない。リスク許容度は年齢やライフプランによって変わるため、バランス型投資信託が自分に合っているか見極める必要がある。

リバランスのやり方5つまとめ

 

リバランスをする時の注意点

リバランスをするときは、どのようなことに注意すればよいのだろうか。ここでは、リバランスで意識しておきたいことについて確認していこう。


あまり神経質になりすぎない

リバランスについては、あまり神経質になりすぎないことが大切だ。

リバランスは、あくまでもリスク軽減や運用効率の向上を目的に行うものだ。ポートフォリオが当初より数%変化した程度では、運用成績に大きな差は生じない。資産配分が大きく崩れたときのみ、リバランスを行えば十分だ。

リバランスを気にしすぎて、短期の値動きにとらわれることないように注意しよう。


NISA口座内の商品はなるべく売却しない

個人の資産形成では、運用益が非課税になるNISA口座を利用する場合もある。リバランスを行うときは、NISA口座で保有している商品はなるべく売却しないほうがいいだろう。

NISAは運用益に税金がかからない分だけ、課税口座(特定口座、一般口座)よりも有利に運用できる。

ただし、NISA口座内でスイッチング(商品の入れ替え)を行うには、その年の非課税枠が必要だ。運用効率を考えると、リバランスのためにNISA口座内の商品を売却するのはもったいないといえる。

NISA口座の商品はそのまま運用を続け、課税口座でリバランスを行うことを検討しよう。

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リスク軽減や運用効率の向上のためリバランスをしよう

長期の資産形成では、リスク軽減や運用効率の向上のために、定期的にリバランスを行うことが大切だ。ただし、短期の値動きを気にしすぎると、運用を続けられなくなるかもしれない。

あまり神経質になりすぎず、年1回など無理のない範囲でリバランスを行うようにしよう。

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