中国の規制当局が仮想通貨取引とイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の規制をさらに強化する方針を明らかにした。複数の中国メディアが報じた。最近、中国における規制強化が相次いでいて、一部の関係者からは米中戦争が激化する中、中国政府がビットコインや仮想通貨を使った中国からの資金流出に対して警戒しているのではないかという声が出ていた。

 中国证券网によると、中国人民銀行と関連機関は地方政府に対して、仮想通貨取引やICOを取り締まる新たな枠組みを発表。中国国外にサーバーを持つ124のウェブサイトに対する取り締まりを強化する方針で、国内に住む人々に対する取引記録の提供などを求める。ICOや仮想通貨の取引の抜け道として使われている場合、即座に閉鎖されることになる。21日にはすでに仮想通貨関連サイトのjinse.com and bishijie.comが、「ICOや仮想通貨トレードに対するインチキ情報」を流した疑いがあることから、全てのコンテンツをブロックするように命令されたという。

 また「第3者の決済サービス企業」に対しても監視を強化。ビットコインなど仮想通貨に関するビジネスを行わないように求めていくという。中国での決済サービス企業と言えば、アリペイやウィーチャットペイが普及している。

 中国は去年9月にICOを全面禁止。国内における仮想通貨取引所も実際に閉鎖に追いこまれていたもの、P2P取引やエスクローと呼ばれる第3者を介した仕組みが抜け道になっているという噂もある。

 新たな規制強化に関する第1報は、上海證券報が22日に報じた。上海證券報は、新華社通信がスポンサー企業で中国証券監督管理委員会の情報伝達機関として知られている。

 今週、中国では仮想通貨業界に対する規制強化が強まっている。中国のインターネットサービス大手テンセント(騰訊)が運営するSNSのウィーチャット(WeChat)が仮想通貨とブロックチェーン関連のアカウントを停止させた。中国・北京の朝陽(チャオヤン)区の規制機関が17日、全てのホテルやショッピングセンター、オフィスに対して仮想通貨関連のイベントを開催することを禁じると発表した

 ウィーチャットのアカウント停止に関してコインテレグラフ日本版が仮想通貨取引所関係者に取材をしたところ、7月に勃発した米中貿易戦争への対応が背景にある可能性が浮上。中国の規制当局は、ビットコインや仮想通貨を使った中国からの資金流出に対して警戒しているという。

参考記事
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中国の仮想通貨規制強化をめぐる噂の真相【元中国本土取引所CEOが語る】