中国のインターネットサービス大手テンセント(騰訊)が運営するSNSのウィーチャット(WeChat)が仮想通貨とブロックチェーン関連のアカウントを停止させた。地元経済ニュースのLanjingerが21日に報じた

 ウィーチャットの関係者の話として報じられたところによると、一部のアカウントがイニシャル・コイン・オファリング(ICO)を行ったりや仮想通貨トレードにおいて「インチキ情報」を流したことが規定違反にあたるため、停止したという。この規定は、「インスタント・メッセージ・サービスにおける公共情報の取り扱いに関する規定」と呼ばれ、中国サイバースペース管理局が8月7日に導入したものだったいう。

 停止されたアカウントは、フォビ・ニュースやディープチェーン、コインデイリーなど有名仮想通貨メディアも含まれるという。具体的にアカウントがいくつ停止されたかは定かではない。ある利用者は8アカウントが閉鎖されたと主張している

 ウィーチャットは5月、ユーザーが契約手続きを暗号化するサードパーティのブロックチェーンアプリを停止した

【8月22日午後1時30分加筆】

 一連の動きの背景にあるのは7月に勃発した米中貿易戦かもしれない。

 アカウントを停止されたメディア関係者によると、同社は8月7日の時点で中国のインターネット規制を取り仕切る同委員会から「新たな政策」を知らされていたという。また、8月21日には国家主席・習近平に近いとされる人物がのトップに就任。これと同時にアカウント停止が起きている。

 「ビットコインや仮想通貨を使った資金流出を食い止める施策の一環として、フォロワーが多く影響力の大きいウィーチャットのアカウントをまず停止したのでは。」(某仮想通貨取引所関係者)

 中国本土では一年に両替・海外送金できる金額に規制がかけらているが、仮想通貨が抜け道になってきた。貿易戦が経済にあたえる影響を危惧した資産家たちが中国から資金をもちだそうとしている、という声もちらほら聞こえてくる。

 そこに貿易戦の対応に追われる習近平が先手を打った、という見立てだ。

 ちなみに今回ネット上では中国の仮想通貨メディアによる「利益相反」行為についても批判があがっている。大手仮想通貨取引所との資本関係を背景に、 一部の中国仮想通貨メディアによるICO等のプロモーションにからんだ不正を疑う声が絶えない。

 しかし今回アカウントを停止された関係者は楽観視している。

 「アカウントは永久停止。だがデータを移動して新しく作ればよいだけだ。」

 いたちごっこは続きそうだ。

参考記事
中国の「WeChat」、サードパーティのブロックチェーンアプリを停止