ドイツのキール世界経済研究所の経済学者らは、中央銀行が発行するデジタル通貨を、より安定した金融システムを生むチャンスだとする一方で、仮想通貨については否定的な見解を示した。コインテレグラフ・ドイツ版が27日に報じた。
同研究所は26日、欧州議会経済金融委員会の「金融協議」のための指針となる研究報告を公表した。経済学者らは報告書の中で、デジタル通貨やバーチャル通貨をビットコインなどの仮想通貨と区別して論じ、仮想通貨は中央銀行が発行する従来の通貨を代替する存在にはならないと主張した。
「現段階では、従来の通貨がビットコインなどの仮想通貨に大きく置き換わる可能性は低い。現在の技術にはスケーラビリティに関して厳しい制限がある。とりわけ、現在、従来の通貨を介して行われている取引量のうち一定量を仮想通貨を用いて分担したとしても、莫大な費用がかかる可能性がある」
報告書は、仮想通貨などの資産は、交換媒体としてではなく、投機の手段として主に使用されていると主張する。仮想通貨は固定した価値に基づいておらず、合理的に評価することができない。そのため大きな価格変動が生じ、その結果、より多くの投機家を引き寄せる。規制が整備されておらず、透明性が欠如ししていることで、この効果がさらに助長されるとしている。
さらに、デジタル通貨は「破壊的」で従来の銀行口座の重要性が失われる可能性があるものの、中央銀行にとってのチャンスとなりうると指摘する。
「不安定な銀行システムが繰り返されることを避けるため、商業銀行は、預金よりも信頼性の高い資金調達源を考案する必要がある。現在の部分準備銀行制度は、不安定性の大きな要因となりうるため、このような破壊的な変化は必ずしも悪い展開とはいえないが、最終的により安定した金融システムへの道が開かれる可能性がある」
世界では、タイ中央銀行やバハマ中央銀行が既に独自の仮想通貨の導入を検討し始めている。さらに、国際金融システムで大きな役割を担っているとみられるイングランド銀行の総裁も、中央銀行のデジタル通貨について検討の余地があると述べている。