香港が仮想通貨ファンドに対する先駆的なライセンス制度を開始してから約1年。この制度がほとんど利用されていない実態が明らかになった。ロイターが5日に報じた。

昨年10月の香港証券先物委員会(SFC)は仮想通貨ファンドに登録を求める制度を開始したが、ロイターの報道によれば、実際にライセンスを取得したのは1社に留まっている。

香港のSFCは、ライセンスの承認数に関する情報を公表しておらず、ロイターからのコメント要求も拒否したという。

香港に拠点を置くデジネックス(Diginex)は今年6月にライセンスを取得した1社だ。リチャード・バイワースCEOは「クライアントとの信頼を構築するためには規制が必要だと考えている」と述べている。

デジネックスのライセンス取得をサポートした法律事務所の担当者は、ライセンス取得が少ない実態について、次のようにロイターにコメントしている。

「昨年には多くの熱気があったが、今はあまりアクティブとは言えない状況だ。(ファンドの)マネージャーの多くは、(仮想通貨ファンドの)事業を行うためのバックグラウンドや経験、サポートを持っていない」

また匿名の情報筋は、ロイターに対して、厳格な規制のため、香港の仮想通貨ファンドの一部が海外に流出してしまったともコメントしている。

一方、香港の法律事務所クリフォード・チャンスのパートナーであるロッキー・ムイ氏は、昨年の相場低迷が影響したとの見方を示している。

「2018年のリターンが低いため、機関投資家が仮想通貨ファンドに投資するのを躊躇してしまった。そのため、ライセンス取得の計画を棚上げすることになった。機関投資家がマーケットに参入すれば、仮想通貨ファンドも一斉にライセンス申請を行うだろう」

【関連記事:香港金融当局が仮想通貨ファンドの規制発表、免許が必要に

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版