創業者の急死により仮想通貨が引き出せなくなったカナダの仮想通貨取引所クアドリガCXが、大量のイーサリアムをほかの取引所に預けていた可能性が浮上している。仮想通貨関連の調査を手掛けるZeroNonCenseが、米取引所クラーケンのジョセ・パウエルCEOなどから裏付けとなる情報を入手し、レポートしている。

クアドリガCXは創業者のゲリー・コットン氏が急死したことで、コールドウォレットに預けていた1億9000万カナダドル(約159億円)相当の仮想通貨にアクセスすることができなくなったと言われている。クアドリガは1月末にサービスを停止し、現地の裁判所に債権者保護手続きを申請した。裁判所の管理下のもとで仮想通貨の行方を調査している状況だ。

BTCコールドウォレットは18年4月から使われず

3月1日、裁判所から指名された監査法人のアーンスト&ヤングは報告書を出し、クアドリガのコールドウォレットが18年4月から使われていない状況であると指摘した。コールドウォレット内に仮想通貨が存在しない可能性は、専門家らも指摘していた

裁判所への報告書によれば、アーンスト&ヤングはビットコインを管理するために使われていた6つのコールドウォレットを特定した。しかし、このウォレットは18年4月以降、ほとんど使われた形跡がなかったという。

「現時点で、2018年4月にクアドリガが特定のビットコインコールドウォレットの使用を中止した理由を特定することはできなかった」

またアーンスト&ヤングによれば、ほかの仮想通貨取引所で作成された14のユーザーアカウントを発見した。こういったアカウントは「クアドリガが通常のプロセス外で作成された可能性がある」という。

大量のETHがクラーケンなどの取引所に

ZeroNonCenseはクアドリガのトランザクションを分析。レポートによれば、クアドリガが持つ約65万ETHがクラーケンやビットフィネックス、ポロニエックスといった仮想通貨取引所に預けられているという送金された時点で、その額は1億ドル以上にのぼる。

ZeroNonCenseは、この複数の取引所に移された仮想通貨の存在について、クアドリガのほかの関係者などは気づいていないかった可能性が高いと指摘している。

ただ創業者の未亡人であるジェニファー氏は宣誓供述書の中で、創業者のコットン氏がほかの取引所に保管している可能性について言及している。前述のアーンスト&ヤングの報告書が指摘するように、コールドウォレットが使われていなかったのならば、クアドリガが外部の取引所の口座に資産を保管していた可能性が出てくる。

ZeroNonCenseは、クアドリガの資産がまだクラーケンなどの仮想通貨取引所にある場合、その回収は難しいものではないとし、クアドリガが利用者への弁済を行い、業務を再開することも可能になるだろうと述べている。

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版

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