ポーランドの議員団が、現行の仮想通貨への課税方針を明瞭化する待望の新法案を提出した。この法案は8月24日に同国の政府サイトで公開され、現地仮想通貨メディアのクリプトワルティが25日に解説記事を掲載している。

 クリプトワルティは、この新法案は審議に出されており、ポーランド閣僚評議会が18年第3四半期中にこれを検討する予定だと記している。同国の仮想通貨コミュニティが今年反対の声を上げた以前の課税方針は考慮されているが、若干の変更が施されている。政府が述べているように、この法案の目的は仮想通貨取引の税制を簡素化することにある。

 まずこの法案では、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策法の観点から、仮想通貨を「貨幣のデジタル的表現」と定義している。さらに『仮想通貨』と『中央集権型仮想通貨』の2つのグループを設定し、それらは電子商取引における交換手段としての利用、支払手段としての受領が許可されている。

 課税に関しては、この法案は個人と事業の両面に言及している。証券取引所で、あるいは私的に行われた仮想通貨同士の取引は非課税となる。一方、サービス・資産・商品の売却による利益は税務上の収入と同様に扱われる。 

 この法案はさらに仮想通貨マイナーも取り上げ、私益のために行っている場合は課税されないが、団体や個人のために行っている場合は納税義務が生じるとしている。

 ポーランドの現行の税制では、年収8万5500ズロチ(2万3000ドル)までは18%、それ以上は32%の税率となる。

 ポーランドは今年、大規模な反仮想通貨キャンペーンで始まった。ポーランドの中央銀行は2月、仮想通貨反対を目的とした2万7000ドル相当のコンテンツに出資したと認めた。このコンテンツはユーチューブで公開され、その後現地報道機関によって放送された。5月にはポーランド金融監督局(KNF)が同様のキャンペーンを計画し、仮想通貨、ネズミ講、外国為替取引にまつわるリスクに関するソーシャルメディア投稿に61万5000ズロチ(約17万3000ドル)の資金が出された

 ポーランドの仮想通貨コミュニティが、新たに発表されたデジタル通貨課税と併せてこのキャンペーンを批判したため、ポーランド財務省はこの措置を撤回、より賢明な法令を作り上げると約束していた

 その一方で、今年6月には銀行が仮想通貨事業者の口座を閉鎖するなどし、ポーランドの仮想通貨事業者団体が政府に対して苦情を申し立てる事態となった。