金融サービスプロバイダーのマスターカードが、自社のカードによる、より迅速で安全な決済の実現に向けたブロックチェーンシステムの特許を申請した。米国特許商標庁(USPTO)が7日に公表した特許申請情報で分かった。

 この特許出願は「ブロックチェーンを通じたペイメントカード認証の方法とシステム」と題されており、ユーザー情報を認証・保護するためのパブリックなブロックチェーンを用いた支払いプロセスの実行と復号について解説されている。

 この出願文書で、マスターカードは「支払い認証情報のワイヤレス送信」に用いられる既存の手法の脆弱性について述べ、認証情報が「傍受される」危険性があると主張している。ブロックチェーンを導入することで、同社は「消費者の関与を最低限に」とどめつつ、支払い認証情報を安全に送信する手法の実現を目指す。マスターカードによるこうした最新のブロックチェーン技術の応用は、セキュリティと利便性を両立させる上での技術的な課題の解決を意図したものだ。

「消費者の関与を最小限に抑え、かつ高いレベルのセキュリティ、特にスキミングを防ぐ機構を維持しつつ、店頭端末への支払い認証情報の送信を可能にする技術的なソリューションへのニーズがある」

 「スキミング」とは、「たとえ消費者の財布にカードが安全に保管されている時であっても、悪意のある者が支払い認証情報を引き出せるようにする、あるいは店頭の支払い端末にワイヤレスで送信されている間に認証情報を傍受する」手法のことだ。

 特許申請書類によると、まず暗号化のプロセスでカード情報がエンコードされ、それがブロックチェーンに保管された後、公開鍵と秘密鍵の2つの鍵が発行される。カードを使用して支払いを行うと復号リクエストが発信され、システムが2つの鍵を使用してカード情報をデコードし、承認する。

 今週はすでに、同社が「ネットワーク全体が機能するブロックチェーンを構築した」旨を、マスターカードのアン・ケアンズ副社長がマネー20/20カンファレンスの席上で発言していた。ケアンズは「現実的なユースケース」を規定する必要があると述べる一方、同社がブロックチェーンの「大規模な」導入を決めたことを明らかにした。さらに、単純に「既存のテクノロジーをブロックチェーンで置き換えるわけにはいかない。それでは、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができないからだ」とも説明していた。