米証券取引委員会(SEC)のマーク・ウエダ委員長代行は、恒久的な規制の整備が進行中であることを踏まえ、仮想通貨業界に対して迅速に導入可能な「一時的・条件付きの規制緩和措置」が、米国内におけるブロックチェーン技術のイノベーションを後押しする可能性があると述べた。

この発言は、4月11日にSEC主催で開かれた仮想通貨タスクフォースのラウンドテーブルにて行われたものだ。

即応的な規制緩和で短期的課題に対応

ウエダ氏は、SECが「長期的な解決策」に向けて取り組む中で、このような時限的措置が短期的な対応に得ると説明した。この会合には、ユニスワップラボのキャサリン・ミナリク氏、カンバーランドDRWのチェルシー・ピッツォラ氏、コインベースのグレゴリー・トゥーサー氏など、業界関係者も出席した

ウエダ氏は、仮想通貨取引が州単位で規制されている現状に懸念を示し、「州ごとのライセンス制度がパッチワークのように錯綜する恐れがある」と語った。

また、統一された連邦規制の枠組みが実現すれば、市場参加者が「50州それぞれのライセンス制度」を回避し、SECの単一ライセンス下でトークン化証券や非証券型の仮想通貨を提供しやすくなると強調した。

さらにウエダ氏は、どのような領域で「免除措置」が適用可能かについて、市場関係者にフィードバックの提供を求めた。

同氏はまた、ブロックチェーン技術の有効性についても言及した。「ブロックチェーン技術は、証券取引の決済や清算において、現行のプロセスよりも効率的かつ信頼性の高い手法を提供できる可能性がある」と評価。「ブロックチェーンは、トークン化された形で担保資産の管理および流動化を行うことで、資本効率と流動性を高める手段にもなりうる」と続けた。

アトキンス氏の正式就任までウエダ氏が委員長代行を継続

ウエダ氏は、トランプ米大統領がSEC委員長に指名したポール・アトキンス氏が正式に就任するまで、引き続きSECの委員長代行を務める。

アトキンス氏は4月10日、上院にて賛成52、反対44の党派投票でSEC委員長として承認された

ウエダ氏は2024年1月20日より、仮想通貨に批判的だった前任のゲイリー・ゲンスラー氏に代わって委員長代行を務めており、業界内では「親仮想通貨派」として広く認識されている。

3月18日には、バイデン政権下で提案された投資顧問業者に対する仮想通貨カストディ強化案について、撤回や見直しを含む検討の必要性をウエダ氏が示した。「私は、SECのスタッフに対し、仮想通貨タスクフォースと密に連携し、代替案の検討──必要に応じて撤回を含む──を行うよう要請している」と、ウエダ氏は述べている。