米証券取引委員会(SEC)は、バイデン政権下で提案された仮想通貨のカストディ基準を強化する規則を変更、または撤回する可能性がある。これは、SECの委員長代行であるマーク・ウエダ氏が明らかにした。

ウエダ氏は、3月17日にサンディエゴで開催された投資業界の会議でのスピーチの中で、2023年2月に提案されたこの規則について、その広範な適用範囲に対して「重大な懸念」が寄せられたと述べた。

「こうした懸念を踏まえると、元の提案をそのまま進めるには大きな課題がある。そこで、SECのスタッフに対し、仮想通貨タスクフォースと密接に連携し、撤回を含む適切な代替案を検討するよう求めた」とウエダ氏は語った。

この規則は、バイデン政権下でゲイリー・ゲンスラー氏がSECを率いていた際に提案されたもので、投資アドバイザーが顧客のために保有するすべての資産(仮想通貨を含む)にカストディ規則を適用し、その保護要件を強化することを目的としていた。

この規則により、投資アドバイザーは顧客の仮想通貨を適格カストディアンに預けることが義務付けられる。ゲンスラー氏は当時、「投資アドバイザーは、仮想通貨プラットフォームを適格カストディアンとして頼ることはできない」と発言していた

この提案は、ウエダ氏やSECの委員であるヘスター・ピアース氏、さらに業界のロビー団体と対立を引き起こし、ロビー団体はこの規則を「違法かつ危険」と批判していた

ウエダ氏は当時、「この規則に準拠しようとするアドバイザーが、暗号資産にどのように投資できるのか?」と疑問を呈していた。しかし、いくつかの条項には反対しながらも、提案自体には賛成していた。

一方、SECの5人の委員のうち唯一この規則に反対票を投じたピアース氏は、提案された規則が「暗号資産へのカストディ要件の適用範囲を拡大する一方で、適格カストディアンの数を減少させる可能性がある」と指摘していた。

ウエダ氏は規制見直しを進めており、3月10日には「仮想通貨企業の一部を取引所として登録させることを求める規則の一部を撤回する選択肢をSECスタッフに提示するよう求めた」と発言している

また、トランプ政権下のSECは、金融機関が仮想通貨を保有する際にそれをバランスシート上で負債として記録することを求める「SAB 121」と呼ばれる規則を撤廃した

さらに、2023年12月には、トランプ大統領がSECの新委員長として元SEC委員のポール・アトキンス氏を指名。この指名が現実に近づき、3月27日に上院での公聴会が予定されていると報じられている