韓国の大手銀行国民銀行が仮想通貨(暗号資産)カストディ(資産管理)導入に動いている。コインテレグラフ韓国版によると同行は6日、ブロックチェーンベンチャーファンドのHashed、仮想通貨取引プラットフォームのCumberland Korea、仮想通貨ウォレットを開発するHaechiラボと提携し、カストディ業務に関する「戦略的技術協力」を結んだ。
国民銀行は約25兆円を運用する韓国のメガバンクで、「ビッグ4」と呼ばれる韓国メガバンクの中での最大手。
今回の提携によって▼デジタル資産カストディ▼関連規制の変更した場合の協力体制▼ブロックチェーン技術を利用した新規事業への取り組み▼ブロックチェーンと金融分野のエコシステムの生成ーーを目指す。
今回の提携による仮想通貨カストディへの参入は、ブロックチェーン活用などの新しいビジネスモデルの検討を奨励する、規制の変化によるものだという。
Hashedの法務責任者であるジン・カン氏のブログによると、米国通貨監督庁(OCC)が7月に銀行に対して仮想通貨カストディ業務提供を許可したことが背景にあるとしている。OCCのカストディ認可によって、銀行の顧客は安心して仮想通貨資産の保管・運用を任せることができるようになることを受けて、当時はビットコインの上昇にも繋がったとされる。より多くの適格投資家や機関投資家が参入するきっかけになると想定されるからだ。
さらに国民銀行は仮想通貨だけでなく、ブロックチェーン上で発行・取引される不動産や美術品の権利の取引も取り扱うことを想定するという。
ソウルとサンフランシスコに拠点を置くHashedのサイモン・キムCEOは次のように述べている。
「ブロックチェーン業界における我々のインサイトを結集し、技術的・商業的なコンサルティングを提供することは、消費者と国家にデジタルトランスフォーメーションという新しい扉を開くことになる。」
国民銀行同様に、大手行であるNH農協銀行が7月にも仮想通貨カストディサービスを開始する予定であると発表している。NH農協銀行は機関投資家のみを対象している一方で、国民銀行はリテール向けにも構築する意向だ。
韓国で進む仮想通貨整備
韓国では2020年3月、特定金融情報の方置くおよび利用にに関する法律を改正。これによって初めてデジタル資産を組み入れた。
7月には韓国の経済財務省(旧・企画財政部)が改正税法を公表。仮想通貨取引で発生した利益の20%の課税対象とすることを発表した。韓国議会は9月3日までに改正税法を承認する予定。承認されれば2021年10月1日から施行される予定だ。
新たな枠組みでは仮想通貨と無形資産から得たキャピタルゲインは、毎年計算される課税所得に分類される。年間250万ウォン(約22万円)以下の仮想通貨での所得は課税されない。
250万ウォンを超えると20%が課税され、韓国のそのほかの課税所得やキャピタルゲインと同等に水準に設定される。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン