ナスダックに上場するライオン・グループ・ホールディング(LGHL)が、6億ドル相当の仮想通貨準備金を設立すると発表した。主な保有資産はハイパーリキッド(HYPE)で、ビットコイン以外のアルトコインに対する関心の高まりを示す動きとなっている。
本社をシンガポールに置く同社は、ATWパートナーズから6億ドルの資金枠を確保し、HYPEトークンの準備金構築やその他のブロックチェーン事業に投じる計画を明かした。うち1060万ドルは6月21日までに実行される見込みだという。
HYPEトークンは、同社が設立するレイヤー1(L1)準備金の「主力資産」となり、ソラナ(SOL)およびスイ(SUI)トークンも構成要素として加わる予定だという。
LGHLの最高経営責任者(CEO)であるウィルソン・ワン氏は、20日の発表で「ハイパーリキッドは、LGHLが展開してきたデリバティブ事業を分散型市場へと拡張する自然な流れであり、オンチェーン実行こそが今後の取引の未来であるという当社の信念を体現している」と述べた。
また、「HYPEのような分散型シーケンスを採用したプロトコルは、スケーラブルなDeFiシステムの基盤を形成する」とも語った。
同社がSOLとSUIを選定した理由としては、ソラナがコンシューマー向けアプリで圧倒的な存在感を示していること、スイがトランプ家支援のワールド・リバティ・ファイナンシャル(WLFI)からの後押しを受けていることを挙げている。
なお、スイは2024年3月6日にWLFIと提携しており、同社の「マクロ戦略」トークン準備金に組み入れられている。
発表を受け、ライオンの株価は1日で約20%上昇し、記事執筆時点で3.33ドルで取引されている。
企業によるアルトコイン準備金が加速
ビットゲット・ウォレットの最高執行責任者ジェイミー・エルカレ氏はコインテレグラフの取材に対し、今回の6億ドル規模の仮想通貨準備金設立は、企業がアルトコインに対して本格的な関心を示し始めた証拠だと語った。
「SOLやSUIのようなトークンを保有することは、デジタル・ゴールドを獲得しようとするものではなく、実際に取引量が多く、開発者が活発なネットワークへの賭けなのだ」
さらに、「これは単なる資産運用ではなく、エコシステムへの積極的な参加だ。今後はより多くの企業が、受動的ではなく能動的に仮想通貨に関与していくようになる」と述べた。
同日には、ナスダック上場のアイノビアも独自のHYPE準備金設立を発表。メレンティ・キャピタルのパートナーであるマックス・ギーゲ氏は、HYPEを「将来性に最も優れたデジタル資産」と称賛し、「完全にオンチェーンで摩擦のない取引モデル」が特筆すべき点だと述べた。
「トークンがネットワークの成長と直接的に連動するインセンティブ設計は稀有であり、HYPEはそれを体現している。アイノビアはその価値を株主に還元できるだろう」と語っている。
6月11日、ナスダック上場のフィットネス機器メーカーのインタラクティブ・ストレングスは、Fetch.ai(FET)トークンを取得し、世界最大規模のAIトークン準備金を構築するため、5億ドルの資金調達を発表した。
なお、ATWパートナーズはこの資金調達の初期投資家でもあり、DWFラボとともにインタラクティブ・ストレングスに5500万ドルを出資している。調達資金はすでにFETの購入に使用されているという。