仏メディアの報道によると、仮想通貨に関するコンテンツをTikTokで発信しているトレーダーが、6月13日夜にフランスで誘拐された。犯人らは仮想通貨で5万ユーロ(837万円)の身代金を要求したが、被害者に支払い能力がないことがわかると、翌日に解放されたという。
事件は、北フランスのジュヴィジー=シュル=オルジュで発生した。被害者は26歳のTikTok配信者で、チャンネルのフォロワーは約4万人。犯人グループは盗難車を使って被害者を車内に押し込み、暴行も加えたという。
被害者は自身のアカウント残高が要求額に達していないことを犯人に示した結果、翌6月14日に解放された。
現在、フランスの組織犯罪捜査部門(SDROS)が事件の捜査を進めているという。
仮想通貨狙った誘拐事件がフランスで相次ぐ
仏内務省は、今年に入り仮想通貨を巡る誘拐事件が増加していることを受け、セキュリティ対策の強化を目的に仮想通貨事業者との会合を持つにまで至った。
5月13日には、フランスの仮想通貨取引所ペイミウムの共同創業者兼CEOであるピエール・ノワザ氏の娘と孫が誘拐未遂の被害に遭った。また、5月3日には、仮想通貨起業家の父親が数日にわたって拘束され、700万ユーロを要求されたうえ、指を切断されるという事件も発生している。
犯人グループに対する摘発も進む
フランスの警察当局は6月11日、仮想通貨起業家の父親誘拐事件に関連して複数の容疑者を逮捕したと、地元メディアが報じた。
その1週間前の6月4日には、仮想通貨関連の誘拐事件に関与したとされる重要人物がモロッコで拘束されたという。
さらに、パリ地方検察庁は5月31日、著名な仮想通貨関係者とその家族を標的とした複数の誘拐計画に関連し、25人の容疑者を訴追したと発表している。