デジタル通貨の世界は政府やグローバル企業からの関心が高まり、2019年に急速な成長と拡大を遂げた。仮想通貨相場も18年の弱気相場から回復したが、それでも19年上半期は仮想通貨の歴史の中でも厳しい時だった。相場は回復に苦戦したもの、企業や中央銀行からデジタル通貨は静かに注目の的となった。

ブロックチェーン技術もまた、世界中の政府や機関によってイノベーションをもたらす技術として認識されるようになり、2019年に大きく成長した。国連や中国政府までもがブロックチェーン技術を称賛し、ブロックチェーン技術の実利用に向けた開発は進んだ。

コインテレグラフでは、仮想通貨・ブロックチェーン業界のリーダーやインフルエンサーにコンタクトを取り、2020年に何を望んでいるのかを聞いた。

エリック・ボールヒーズ(スイス拠点の仮想通貨取引所シェイプシフト創業者兼CEO)

「2020年には、仮想通貨への認識がバランスの取れた状態に戻ることを期待している。2017年には存在するすべての仮想通貨にとてつもない価値があるというクレイジーな考えがあった。18年、19年には逆に、ビットコイン以外は無価値だという極端な悲観主義があった。どちらの意見も極端であり、見当違いだ。私は、質の高いプロジェクトとゴミみたいなプロジェクトがより明確に区別されるようになって欲しいと思っている」

ボールヒーズ氏は、1またコインテレグラフ日本版の年末企画の中でも「人々は、アルトコインの一部はかなり価値のあるものだということに気づくだろう」と語っている。またビットコイン価格についても5400ドル~15万ドルとの予想を披露している。

ヴァレリー・ヴァヴィロフ(ビットフューリー創業者兼CEO)

「世界中の人々、企業、政府が、善なることを行うよう選択して欲しいと願っている。私たち全員にとって世界がより信頼でき、住みやすく、安全になるような内的価値観に基づくようになって欲しい」

2019年には、ビットフューリーは世界のトップフィンテック企業の1つとしてフォーブスの「フィンテック50」に選ばれた。また19年4月には、機関投資家向けのビットコインマイニングファンドを立ち上げている

イーサン・ブレッド(リップルの投資・インキュベーション部門XpringのSVP)

「2020年には、Xpringが世界中の2300万人の開発者に対して簡単にアプリケーションとマネーを統合できるにようすることで、XRPレッジャーおよびインターレジャープロトコルを開発するディベロッパーが増えることを期待している。Xpringは、グローバルなブロックチェーンと仮想通貨エコシステムにおいて戦略的パートナーシップを継続し、このビジョンの推進に役立つXpringプラットフォームのアップデートを推進していく」

2020年には、世界で上位の銀行20行の少なくとも半数が何らかの形でデジタル資産を活用し、デジタル資産を保有・取引する金融機関が増えることを期待している。私の願いは、この傾向がG20以外のグローバルマーケットにも拡大することだ」

「2020年には、人々に広くリーチするようなブロックチェーンベースのゲームがリリースされ、人々がヴァーチャルなモノを売買するようになり、そしてトークン化された資産を活用できるようになって欲しい。ブロックチェーンは、ゲーム業界のビジネスモデルを改革する機会を提供するだろう」

ダニエル・ラリマー(EOS開発企業ブロックワンの最高技術責任者)

ブロックワンの2020年のビジョンについて話し合う中で、ラリマー氏は誠実さ(Integrity)が鍵だと語る。ブロックチェーンの固有の性質は誠実さを生み出すのに役立つと述べている。

「私たちは、社会の誠実さを促進するテクノロジーを推進するエコシステムのすべての人々と協力したいと考えている。『邪悪にならない』代わりに、私たちは邪悪になることができないシステムを作ろうとしている。仮想通貨の世界には数多くの部族主義がある。だが最終的にブロックチェーンが勝つならば、私たち全員が勝つということだ」

アレックス・マシンスキー(分散型レンディングを手掛けるセルシウスネットワーク創業者兼CEO)

「私たちの仮想通貨コミュニティは現在、均等に分散化されているわけではないことは承知している。コミュニティの半分を占めるくらいまで、より多くの女性の参加がして欲しいと思っている。また、一部のプロジェクトで大ヒットを実現し、より大規模な導入につながって欲しい」

ディオゴ・モニカ(仮想通貨カストディ企業アンカレッジ創業者兼会長)

「2020年は、ステーブルなデジタル通貨が成熟し、世界中の人々が使用でき、交換可能なマネーになる機会になるだろう。人々がキャッシュアップ(Cash App)やスクエアペイ(Square Pay)のようなデジタル決済を使用する際、これまでの仮想通貨は交換の媒体とはならなかった。よりユニークな機会が訪れることに期待している」

アンディ・チェン(仮想通貨取引所OKExのオペレーション責任者) 

「私の願いは、1)仮想通貨取引所が協力して世界中の多くのアンバンクのコミュニティにサービスを提供することだ。2)政府がブロックチェーンコミュニティのニーズを理解し、この分野でさらなるイノベーションをサポートし、3)仲介者なしで個人が金融資産を管理する世界になることだ」

リチャード・デニス(量子耐性のある仮想通貨を開発するTemTum創業者兼CEO)

「新しい10年を迎えるにあたり、仮想通貨の世界に対して私が願うことは、すべてのプロジェクトがリソース効率、セキュリティ、ユーザーエクスペリエンスの向上に取り組み、誰もが仮想通貨による経済的自由の恩恵を享受できるようになることだ」

 

タル・コル(ブロックチェーン開発企業Orbsの共同創業者)

「毎日の問題を解決し、関連性のあるプロダクトのユースケースを業界に紹介していきたい。具体的には2020年の選挙にブロックチェーンがどのように関連するのかを紹介したいと考えている。11月、グローバルブロックチェーンビジネス評議会(GBBC)が主催する、ブロックチェーンイベントで発表する機会を得た数少ないプロジェクトに選ばれた。私たちが提示したユースケースは、デジタルコンテンツ認証のためのブロックチェーンソリューションだ。著作権保護に役立つと同時に、フェイクユーザーやフェイクコンテンツの戦いにもつながると考えている」

ロバート・ビードル(ブロックチェーン企業Monarch会長)

「米政府が規制を明確にし、この新しい技術とそれを開発している起業家を受け入れて欲しい。私は、すべての仮想通貨による利益に10%の均一の課税が望ましいと考えている。そしてMonarchのウォレットが、世界中のどこでも誰でも使えるようになることを願っている」