日本政府は、フェイスブックの独自仮想通貨リブラを含むステーブルコインの課題を関係省庁で議論している。立憲民主党の中谷一馬衆院議員の質問主意書への答弁書の中で、関係省庁の連絡会で議論していることを明らかにした。
質問主意書とは国会議員が政府に質問するもので、政府側は閣議決定して回答しなければならない。
中谷議員は、フェイスブックのリブラやそれを巡る政府の政策について一連の質問主意書を提出。その中で、「リブラをめぐり、財務省、金融庁、日本銀行が連絡会を設置したとのことであるが、現在どのようなことが議論されているのか、その詳細について伺いたい」と質問した。
政府側は、この質問について、15日付の答弁書の中で次のように回答している。
「財務省、金融庁及び日本銀行による三当局連絡会については、令和元年七月十日に、御指摘の『リブラ』を含むいわゆる『ステーブルコイン』(以下『ステーブルコイン』という。)の様々な論点について総合的な議論を行ったところであり、今後とも必要に応じ、ステーブルコインに係る課題を議論していくことになると考えている」
財務省、金融庁、日銀によるリブラを巡る連絡会は7月時点でも報道されていた。
ステーブルコイン規制は積み残された課題
これまでの仮想通貨規制の議論において、ステーブルコインをどのように扱うかという点は積み残された課題だ。現状では資金決済法上の「仮想通貨(暗号資産)」には当たらないとの整理だが、ステーブルコインに特化した規制があるわけではない。
資金移動業として規制するという考えも示されているが、専門家からは「ステーブルコインは従来の資金移動業が想定していない事態を引き起こす」との懸念も出ている。
楽天の三木谷氏が率いる新経済連盟は7月末、ステーブルコイン規制を明確化するよう政府に要請したばかりだ。日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)も3月、ステーブルコインを仮想通貨として整理することを提案している。
リブラについては「今後とも状況を注視」
中谷議員の質問では、リブラが日本の経済にどのような影響を与える可能性があるかと質した項目もあった。
これについては次のように回答している。
「リブラ」については、その詳細が必ずしも明らかになっていないため、我が国に与える影響について現時点でお答えすることは困難である。いずれにせよ、今後とも状況を注視しつつ、国際的な議論も踏まえ、適切に対応してまいりたい
詳細が分からないから、影響について回答するのは困難とのことだ。
ただ財務省・金融庁を率いる麻生太郎氏は、リブラについて一部評価する意見も表明している。
麻生氏は「信頼性を精査する必要がある」としながら、「利用者は、(リブラを)国際送金などで使いやすいと考えるのではないか。現在のシステムより安いからだ」と発言した。
米誌フォーブスは、麻生氏の発言を評価し、「トランプ大統領ではなく、日本が仮想通貨の運命を握っている」との記事を掲載した。