インド最高裁判所は、仮想通貨を扱う企業へのバンキングサービスを禁止するとしたインド準備銀行 (RBI、中銀) の通達に対する仮差止命令を認めない判決を下した。仮想通貨規制の分析活動をしているインドの弁護士集団クリプト・カヌーン(Crypto Kanoon)が11日、ツイッターで伝えた。

「最高裁は、RBIのバンキング規制に対する仮差止命令を認めない判決を下した。5月17日に再度、審理が行われる」

 仮想通貨関連企業の代表11名が最高裁に申し立てを行い、中銀の通達を暫定的に差し止めるよう要求した。裁判所の文書によると、この要求は拒否され、当該案件は保留中とのことである。5月17日に再び審理が行われる予定だ。

 仮差止命令とは、訴訟手続き中や裁判前に、特定の行為を要求または控えるよう当事者間に要求する暫定的措置であり、裁判中に不当な状況が発生することを防止する目的がある。

 先月、RBIは正規の銀行や決済プラットフォームに対し、仮想通貨を扱う企業へのサービスを即座に停止するよう命じた。銀行の動向が、多数の仮想通貨企業や新興企業の利害に直接的な影響を与えたため、RBIの声明は国民からの非難を受けた。上述の通達では、こう書かれている。

「インド準備銀行によって規制されている事業体が仮想通貨を扱うことを禁止し、仮想通貨を扱ういかなる個人や事業体に対してサービスを提供することを禁止することを決定した。本決定は直ちに効力を発揮する。サービスとは、口座の維持、登録、取引、決済、清算、バーチャルトークンへのローン付与、抵当としてのバーチャルトークン受け入れ、仮想通貨取引所の口座開設、仮想通貨の売買に関連する口座への送受金を含む」

 テクノロジー企業への投資家ティム・ドレイパー氏は、汚職を取り締まるナレンドラ・モディ首相の姿勢を評価しつつも、法定通貨としての仮想通貨を認めない政府の姿勢を「大きな誤り」と評価。以下のように話した。

「RBIの決定は頭脳流出をもたらす。インド国内での厳しい規制によって、仮想通貨やブロックチェーン関連のインドの起業家たちが、国外でビジネスを行うことになる」

 4月、チリの仮想通貨取引所のグループが、チリ国内の銀行が取引所の口座を閉鎖したことを受け、裁判所に訴訟を申し立てた。取引所3カ所(BUDA、Orinox、CryptoMarket)は、銀行による不公平な措置は「仮想通貨業界全体を殺すもの」と批判していた。

 4月25日、Budaはチリの主要銀行2行における口座再開を求め、反独占裁判所に申し立てを行った。裁判所はウェブサイトにて、訴訟は依然続いているとしながらも、チリ国立銀行と イタウ・コープバンカの2行に対し、Budaの口座を再開するよう命じた決定を公表した。