国際通貨基金(IMF)は10日、第2の法定通貨として暗号通貨を採用するリスクについて、マーシャル諸島共和国に警告したことを明らかにした。

 国内金融の整合性や外国銀行との関係に対するリスクを警告した。米ドルに次いで仮想通貨を第2の法定通貨として受け入れれば、国内唯一の商業銀行であるマーシャル諸島銀行 (BOMI) は、「最後の米ドルのコルレス・バンキング・リレーションシップ(CBR、海外送金における中継銀行)」を失うリスクがある。

 マーシャル諸島は「米国の資金援助と支出に大きく依存して」おり、重要な銀行関係の喪失は国の経済に危険を及ぼす可能性があるとIMFは述べている。IMFはさらに、法定通貨としての仮想通貨の採用は、アンチ・マネー・ロンダリング(AML)やテロ対策(CFT)政策の策定や施行など、潜在的な財政的利益よりもかなり低いと考えている。

「収益から得られる潜在的な利益は、経済、評判、AML / CFT、ガバナンスのリスクから生じる潜在的なコストよりもかなり小さいだろう。リスクを軽減するための適切な措置がない場合、当局は法定通貨としてのデジタル通貨の発行を真剣に再考すべきである」

 IMFは、政府が経済、評判、AML / CFT、ガバナンスのリスクに関して「強力な政策枠組み」を提供し実施するまで、マーシャル当局にデジタル通貨の発行を再検討するよう要請した。

 マーシャル諸島共和国の人口はおよそ5万3000人。同国が最初の独自の仮想通貨ソブリン(SOV)の発行を発表したのは今年2月だった。SOV発行は、国の自由の表現であるとし、米ドルに代わる国の法定通貨になり、ICOを通じて配布する予定という。