ナスダックに上場する香港の建設会社ミンシン・グループ・ホールディングスは水曜、4,250ビットコイン(BTC)を約4億8,300万ドルで取得する契約に合意したと発表した。仮想通貨を財務資産に加える企業の流れに加わる形となる。
契約が成立すれば、ミンシンはBitcoinTreasuries.NETのデータによると香港最大のBTC保有企業となり、3,350BTCを保有するBuyaa Interactive Internationalを上回る。
「ビットコイン市場は高い流動性を持ち、投資によってビットコインの値上がり益を取り込み、会社の資産を増加させられると考えている」と、ミンシンのウェンジン・リーCEOは述べた。
一方、ミンシンの財務状況は厳しい。Stock Analysisのデータによると、2025年は営業利益率がマイナス3.9%、利払い・税引き前損益は535万ドルの赤字だった。
今回の取引で現金は支払われない。ミンシンは代わりに、10年物・年利3%の転換社債(1株1.20ドルで転換可能)と、12年物ワラント(行使価格1.25ドルで合計4億2467万916株を対象)を発行する計画だ。
英領バージン諸島に拠点を置く2社が関与している。Winning Mission Groupは4,250BTCを売却し、2億4148万750ドル相当の転換社債と2億1233万958株のワラントを受け取る。リッチ・プレンティ・インベストメントは同じ条件のパッケージをミンシンから受け取り、Winning Missionに対して2,125BTCの約束手形を発行する。
株主に大規模な希薄化リスク
この取引構造は、既存株主の持ち分を大きく希薄化させる可能性がある。同社の発行済株式数は現在1,300万株未満だが、転換社債がすべて行使されワラントが未行使のままでも、発行株数は4億1,500万株超に膨らみ、既存株主の持分は約3.1%に縮小する。
最悪のシナリオでは、すべての社債・ワラント・利息が株式に転換された場合、発行株数は9億3,900万株近くに達し、既存株主の持分は約1.4%にまで低下する。さらに同社は現在1億株しか認可していないため、今回の取引には株主による追加株式発行の承認が必要となる。
Google Financeのデータによると、この発表を受けてミンシン株は急騰した。もっとも、長期的には弱気基調が続いており、同社株は過去1年間で70.5%下落、直近1カ月で44%、直近5日間で24%下落していた。
水曜には一時2.15ドルまで急伸したものの、その日のうちにほとんどの上昇分を失った。それでも木曜の時点で株価は1.65ドルと、前日比で11.5%近く上昇している。
香港、仮想通貨推進を加速
今回の発表は、香港がデジタル資産ハブを目指す動きを加速させる中で行われた。規制当局は2024年4月に現物ビットコインとイーサのETFを承認し、今年初めには初の仮想資産サービスプロバイダーライセンスを発行している。
2月には証券先物委員会(SFC)が「ASPIRe」ロードマップを導入し、地元規制の指針を示した。今月初めには、無免許発行者を刑事罰の対象とするステーブルコイン条例を最終決定し、仮想通貨企業向けの新たなカストディ指針を発表した。
また今週の報道では、中国大手銀行系のCMBインターナショナル証券が香港で仮想資産取引サービスを開始したことも伝えられた。
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