ロシアの仮想通貨取引所BTC-eを運営していたとされるアレキサンダー・ヴィニック氏の担当弁護士は、ギリシャ最高裁がビニック氏の権利を「著しく侵害」していると非難した。ロシアの主要国営ニュース局TASSが11月19日に報じた。ヴィニック氏はマウントゴックス事件にも関与が噂されている人物

「ミスター・ビットコイン」とも呼ばれる39歳のロシア人ビニック氏は17年7月25日、詐欺とマネーロンダリングの罪で米国当局から告訴されており、ギリシャで拘束中だ。米当局はヴィニック氏が、BTC-eを通じて、最大40億ドル(約4500億円)のビットコイン(BTC)を利用したマネーロンダリングに関わっているとみている。

さらにロシアとフランス両国はその後、詐欺の疑いで同被告の引き渡しを求めた。ギリシャの裁判所が今年夏にヴィニック被告のフランスへの引き渡しを支持する判決を下すと、同被告は最高裁判所へ提訴した。

TASSが伝えたところによると、ヴィニック被告の弁護士ゾヤ・コンスタントプーロス氏は今週、同被告の要請に応じて裁判所記録の翻訳を提供しなかったとして、被告の権利の「侵害」に当たると最高裁判所を非難した。

「11月17日時点で、(ビニック被告は)フランスの引き渡し要請の書類の公式翻訳を受け取っておらず、(中略)これらの書類はロシア語に翻訳にされておらず、捺印や署名もなかった。」

同弁護士はさらに、ギリシア司法当局が政治的/国籍的理由で差別を行ったとして非難し、裁判所は「ギリシャ国民やEU市民」を同じように扱うことはないだろうと主張した。

ビニック被告の法定代理人は、フランスへの引き渡しが米国への引き渡しにつながると考えていると報じられている。ロシア外務省は今年7月声明を発表し、ギリシャ当局が「ロシアとの関係を複雑化させることを続け」ていると非難し、ロシアの引き渡し要請をフランスの要請よりも優先的に扱うように求めた。

TASSは、対立する引き渡し要請についての決定は、ギリシャの法務省または同国の指導者たちが解決するだろうと述べている。

17年7月のBTC-eの閉鎖の後、米国はBTC-eに1億1000万ドル(約124億円)の罰金、ヴィニック氏に対しては取引所のアンチマネーロンダリング(AML)違反への加担の嫌疑で1200万ドル(約13億5000万円)の罰金を求めている。

ヴィニック氏は公に自身の無実を主張し、BTC-eの運営者であったことも否定し続けていたが、さらに仮想通貨セキュリティー専門家たちが11年のマウントゴックス事件への被告の直接の関与を主張する動きを受けて、その事件への関与も否定した。

ニューヨーク・タイムズの9月の報道によれば、BTC-eはロシアの軍事諜報機関によって利用された資金を扱った疑いがあり、その諜報機関は16年の大統領選挙に先駆けて民主党のメールにハッキングしたとアメリカ捜査当局によって非難されている。