ギリシャの裁判所が仮想通貨交換所BTC-eの元運営者とされるアレクサンダー・ヴィニック氏をフランスに引き渡す判決を下した。CNNギリシャが13日に伝えた。同氏はフランスで仮想通貨を巡る不正行為に関与していたとして逮捕状が出されている。また同氏は11年に起こったマウントゴックスの関係していたとの噂もある人物だ。

 39歳でロシア国籍のヴィニック氏(通称「ミスター・ビットコイン」)は、40億ドル相当のビットコイン(BTC)の不正取得とマネーロンダリングを行った容疑で米国検察当局に昨年起訴されている。

 ヴィニック氏のギリシャでの弁護人であるイリアス・スピリィアディス氏はロシアのタス通信に「裁判所が、フランスによるヴィニック氏の引き渡し要求を受け入れた」と語り、同時に、ギリシャ最高裁に上告する予定であることを明らかにした。

 CNNギリシャによると、ヴィニック氏自身もギリシャの裁判所によるフランスへの引き渡しの判決に抗議している。フランス当局は、16年から18年の間に6つのフランス都市で100人以上の人に不正行為を行った容疑でヴィニック氏の逮捕状を出しているが、ヴィニック氏は「プラットフォームを通じて電子マネーの送金をした」がこれは「合法な個人的取引」であるとして、容疑を否認している。

 ヴィニック氏の弁護人であるスピリィアディス氏は、BBCロシアにフランスに移送されることになれば、今後、米国へ移送されることになると述べている。「米国への移送プロセスが阻止されているため、フランス経由でなければ米国は彼を逮捕することはできない」からである。

 ロシア外務省はこの判決を受けて13日に声明を発表し、ギリシャ当局が「依然としてロシアとの関係を複雑にしようとしている」と非難した。声明では、ロシアへの引き渡し要求がフランスの要求に優先されるべきだったと主張。「当然ながら、ロシアがこの事件を野放しにすることはできない」としている。

 ヴィニック氏が所有者で運営者であったとされる仮想通貨交換所BTC-eが閉鎖された後、米司法省の要請を受け、ヴィニック氏は17年7月25日にギリシャの警察当局に逮捕されていた

 17年9月に開かれた公判で無罪を主張したヴィニック氏は、11年のマウントゴックスのハッキング事件への関与についても否認している。ビットコインのセキュリティー専門家のグループは、ヴィニック氏が同事件に直接関係していたと主張している