破綻した仮想通貨取引所FTXは、サイバー攻撃による一時停止の後、セキュリティ対策を強化した顧客債権の請求ポータルを再開した。請求者は、破綻する前の取引所に保有していた資産の請求を継続できそうだ。
FTXは9月16日にX(旧ツイッター)で声明を発表し、破産請求代理人であるKrollへのサイバー攻撃では自社のシステムは問題がないことを確認した。
FTX provided the following update regarding the recent Kroll cybersecurity incident. Claimants may now resume activities on our platform: https://t.co/DkYi2hDLbI. pic.twitter.com/Nfob4QQxjv
— FTX (@FTX_Official) September 16, 2023
FTXによると、この侵害により特定の請求者の非機密顧客データが漏洩したという。ただし、アカウントのパスワードや資金は影響を受けていないと保証した。
FTXは、2022年11月に破産を宣言する前の取引所に保有していたデジタル資産の請求プロセスを続行するために、アカウント保有者がアカウントにアクセスできるようになったことを発表した。
具体的にはFTX、FTX US、Blockfolio、FTX EU、FTX ジャパン、リキッドのアカウントを保有していた個人が請求ポータルを利用できる。
既報のように、FTXとFTX USに対して約36万75件の顧客請求が提出され、そのうち10%が合意に達した。また、ジェネシスやセルシウス、ボイジャーなどから、同社に対して650億ドル相当の2300件の非顧客債権が提出されたことも指摘された。
FTXは、アカウントの凍結は予防措置であり、追加のセキュリティ対策が講じられていると主張した。
一方で、請求ポータルに関する問題が続いている。
8月27日、FTXはKrollに対するサイバー攻撃が発覚した後、請求ポータルにアクセスした影響を受けたユーザーのアカウントを一時的に停止すると発表した。ただし、ユーザーはKrollのオンライン顧客フォームや郵送で請求書を提出することは可能だった。
7月11日に立ち上げられた顧客請求ポータルは、不明な理由で1時間後にオフラインになったこともある。
9月13日、ジョン・ドーシー裁判官は、投資アドバイザーを通じて、厳しい条件の下で、FTXが資産を週単位で売却することを許可する判決を下した。最初の週は5000万ドルの制限があり、その後の週は1億ドルの制限がある。
ただしFTXは現在、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、および「特定の内部関係者関連トークン」の売却を禁止されている。これらの資産の潜在的な売却は、FTXによる個別の決定を必要とし、委員会と米国管財人に10日間の通知を行った後に行われる。