フランスの中央銀行であるフランス銀行は20日、銀行間決済に用いる中央銀行デジタル通貨(CBDC)のデジタルユーロをテストするために8の企業を選定した

選定リストに入った企業はアクセンチュアやHSBC、ソシエテ・ジェネラルの他に仮想通貨銀行のSEBAやリキッドシェアなどの仮想通貨関連企業が含まれている。企業の選考基準として「イノベーティブな性質」を持つことを条件とし、最大で10の企業を選ぶとしていた。その他に選ばれたのはユーロクリアーやIznes、プロスパーUS。

フランス銀行は2020年3月にデジタルユーロの実験のために協力企業を公募。金融資産に対する支払い、他の中央銀行のデジタル通貨に対する支払い、他のデジタル資産に対する支払いがテストされる見込みだ。

フランス銀行は今回選定した8企業と「数ヶ月間」企業側からの提案に基づいて実験に取り組む。

発表ではフランス銀行はデジタルユーロをリテールではなく、まずはホールセール部門での研究を進める意向だ。ホールセール向けCBDCは銀行や機関投資家向けとなり、フランス銀行は「銀行間の規制」対象となるとしている。

フランスのCBDCの取り組み

フランスはこれまで、欧州のCBDCへの取り組みで最先端を走っている。

5月にはソシエテ・ジェネラルとともにブロックチェーン上でデジタルユーロのテストに初めて成功。有価証券の支払いテストを実施したことを発表している。このテストではCBDCの有価証券の支払いテストを行ったという。発表ではテストの具体的な詳細は明らかにされていないが、デジタルユーロはビットコインやアップルペイといったリテール向けではなくホールセールに焦点を当てていることがわかっている。

ただ、フランスのCBDCの実験が他国にも波及するかはまだ不明だ。しかし、フランス銀行はこのほど、国際決済銀行のネットワークである「BISイノベーションハブ」の一員として、ドイツ中央銀行とともに選ばれている。今回のCBDCで得られた成果についてはBISイノベーションハブの取り組みにも貢献するとしている。

フランス中央銀行のデニス・ボー副総裁は今年1月、ステーブルコインをはじめとする仮想通貨が決済システムの強化に貢献できる可能性があると語った。

ボー副総裁は、ブロックチェーン技術により、ビットコインをはじめとする新しい資産が登場したと述べ、ビットコインやイーサリアムのような第一世代の仮想通貨から、現在は第二世代の仮想通貨が登場していると指摘した。

「JPモルガンコインや、UBSのユーティリティ・セトルメント・コイン、フェイスブックのリブラなど、第二世代のものがステーブルコインとして登場している」

その上で巨大テック企業や大手金融機関がサポートするステーブルコインならば「グローバルにリーチでき、決済システムの強化に貢献できる可能性がある」と語った。

ボー副総裁は、現状の送金ネットワークは「グローバルレベルで迅速で安価な送金をサポートできる状況からは程遠い」とし、ステーブルコインは「より安く、より簡単で、リアルタイムかつ匿名でピアツーピア決済を提供し、既存のプレイヤーに挑戦することができる」と述べている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン