フランスとシンガポールの金融当局は、国境を超えた中央銀行デジタル通貨(CBDC)の活用を積極的に模索している。

フランス銀行とシンガポール金融管理局(MAS)は、木曜日、CBDCとブロックチェーン技術を活用したクロスボーダー決済の試験運用を無事完了したことを共同で発表した。

今回のCBDCの試験運用は、JPモルガンのデジタル通貨専門部門であるオニキス(Onyx)からの支援と専門知識を得て、JPモルガンのブロックチェーン・プラットフォームであるクオラム(Quorum)を基盤とする個人情報の保護に対応した許可型ブロックチェーン上で実施された。

この試験運用の一環として、フランス銀行とMASは、シンガポールドルベースのCBDCとユーロとの間の国境を超えた外貨間為替取引のシミュレーションを行っており、「今回は、2つの中央銀行間に限定されていたが、このm-CBDC(複数CBDC )型のネットワークの設計は、管轄区域が異なる複数の中央銀行や商業銀行の参加を促進するべく規模を拡大することが可能である」と共同発表で述べている。

また今回の実験で、フランスとシンガポールのプライベートおよび公共のクラウドインフラに設定されたブロッックチェーンノードによる、様々なタイプのクラウドインフラ間での相互運用性も実証されている。フランス銀行は、今回の試験運用は、2021年秋までに完了予定のホールセールバンキング実験プログラムにおける最新の成果の1つであると述べている。

MASのフィンテック部門の責任者であるSopnendu Mohanty氏は、この新しい技術開発により、複数の国の金融機関による「異なる通貨間での直接取引が可能となる」とし、「今回のm-CBDCの実験は、金融インフラを分散化することによって流動性の管理やマーケットメイク・サービスを改善するという新境地を切り開いた」と述べている。