米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は、フェイスブックの独自仮想通貨「リブラ」について「マネーロンダリングやプライバシーなどで深刻な懸念がある」としリブラの計画に厳格に対処する必要があるとの姿勢を示した。7月10日に下院金融サービス委員会の公聴会で述べた。

パウエル議長は、スティーブ・スティバーズ議員から、「フェイスブックがマネーロンダリング対策や顧客確認に関してあなたの質問に十分に答えることができないなら、同社に対して銀行サービスを提供する銀行へ何と伝えるのか、同社に対してどんなアドバイスをするのか」と問われ、以下のように答えた。

「私は、マネーロンダリングなどすべての項目に対し、フェイスブックが幅広く満足させる対応をせずには計画を進めることはできないと考えている。データ保護や消費者プライバシーといった私が初めに列挙した数々のすべての懸念事項は、極めて慎重に厳格に対処する必要がある

同議長はまた、リブラがグローバルに展開する点を指摘し、従来型の規制の枠を超えている点について言及。「我々の規制枠組みだけで、簡単に収まるものではない」と述べ、各国の中央銀行や政府当局と協調していく考えを示した

リブラ批判の急先鋒である金融サービス委員会のマキシン・ウォーターズ委員長が、FRBがリブラについて懸念しているかとの質問に対しては、同議長は以下のように述べた。

リブラは、プライバシー、マネーロンダリング、消費者保護、金融安定など多くの深刻な懸念を引き起こしている。計画を進める前に注意深く公に対処すべき懸念事項だ」

パウエル議長は先月19日の記者会見で、リブラ規制に関するFRBの役割を問われ、直接的な権限はないが、影響力はあると示唆していた。

仮想通貨リブラ専用ウォレットを開発するフェイスブックの子会社カリブラのデービット・マーカスCEOは先日、米議会上院の銀行委員会に対し、フェイスブックがリブラを通して個人の取引情報にアクセスすることはないと保証すると書簡で述べ、議会側の懸念を打ち消そうとしていた。

来週16日、17日には米議会でフェイスブックのリブラに関する公聴会が開かれる予定だ。米議会の懸念に対して、フェイスブック側が直接回答することになる。

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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版