仮想通貨ビットコインキャッシュ(BCH)推進派のロジャー・バー氏が会長を務めるBitcoin.comが1月28日、コミュニティの圧倒的な拒否反応により、マイニング報酬の12.5%をBCHのインフラ開発資金として寄付する計画撤回した。主要BCHマイニングプールとともに提案した計画で、5月15日予定のアップデートともに開始し、寄付で集めた資金の管理・分散を行う法人を香港に設立することや、計画に同意しないBCHマイナーの孤立化などをうたっていた。

Bitcoin.comの立ち位置は?

2020年1月23日、主要BCHマイニングプールおよびBitcoin.comは、BCHのインフラ開発のための資金調達として、マイニング報酬の12.5%を寄付する計画を発表した。しかし今回の声明では、重大な変更が行われない限り、Bitcoin.comはこの計画を拒否するとしている。

また声明において、Bitcoin.comは、透明性、柔軟性、統一性を求めている。

Bitcoin.comは、BCHの開発に資金を供給する方法を模索しているものの、コミュニティを含むエコシステムの合意なしでは、BCHがフォーク(分裂)するリスクを負わないという。

「今のところ、Bitcoin.comは、チェーンが分岐する可能性が低いといえるほどエコシステムで多くの合意が得られない限り、計画を支持することはない」

Bitcoin.comの声明は、柔軟性を高める呼びかけで終わっている。

「永続的な提案は、事実上、開発に関する白紙委任状(カルト・ブランシュ)にあたり、『開発のための開発』を奨励するものだ。(中略)BCHエコシステム全体の目標である、安定し不変、経済的なビットコインプロトコルに基づいて、高速で信頼性の高いデジタル通貨を作成するという、資金調達の目的を損なうことになる。」

コミュニティからの厳しい批判にさらされる

既報の通り、今回の計画において激しい論争のひとつになったのは、計画に同意しないBCHマイナーの孤立化だ。米SNS「レディット」では、悪意のある集団・個人が、ネットワーク全体のマイニング(計算処理)の51%以上を支配し、不正な取引を行う「51%攻撃」に向けた用意だという厳しい指摘もあった

また非営利団体ではなく、企業に寄付金を集めて管理する体裁など、コミュニティによる投票手続きを欠いている点も批判された。この管理方法では、寄付金管理企業の所有者がBCHの開発を左右できることを意味するという。この他、マイニングにおける収益性の問題や、中国政府の干渉に関する声もあったようだ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

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