ドイツやフランスといった欧州諸国がフェイスブックの独自仮想通貨リブラについて公然と反対の意思を示すなど、大きく逆風が吹き荒れている。しかしフェイスブックでリブラの責任者を務めるデビッド・マーカス氏は、あくまで目標通りに2020年にリブラを立ち上げる考えを示した。
スイスの大手メディア「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング(NZZ)」が20日、マーカス氏のインタビューを掲載した。マーカス氏はリブラのウォレットを開発するフェイスブック子会社カリブラのCEOだ。
2020年の目標は変わらず
マーカス氏は、インタビューの中で、リブラの発行について「目標は来年にリブラを開始することだ」と発言した。
リブラの発行時期については、リブラの発行体となるリブラ協会創設メンバーのペイパルが今月、「まだ多くの作業が必要だ」とし、2020年以内の発行について慎重姿勢を示していた。
マーカス氏は、2020年のリブラ立ち上げに向け、「すべての質問に適切に回答し、適切な規制環境を作り、協会の運営を設計し、ウォレットのカリブラを完成させていく」と発言した。
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中央銀行からの批判に反論
欧州中央銀行の幹部などからは、リブラの存在が金融政策に影響を与えるとの懸念が示されている。この点について、マーカスは「そうは思わない」と反論する。
「リブラは伝統的な通貨と1対1で発行され、新しいマネーを生み出すわけではない。利子や利回りに影響はない。リブラリザーブ(準備金)も金融政策を混乱させるわけではない。いずれにせよ、未来のユーザーがリブラを使って、ドイツやフランスのエスプレッソを支払うことはまずないだろう。その代わりに、国際送金や少額決済でメリットを提供することになるだろう」
またフェイスブックを巡るプライバシーへの懸念については、「フェイスブックがウォレットのデータにアクセスできない」ことを改めて強調。「プライバシー保護については常に議論している」と述べた。
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将来は銀行もリブラ協会に参加か
またマーカス氏はリブラの発行体となるリブラ協会に、将来的に銀行が参加する可能性もあると述べた。「今のところ、銀行は参加していない」と質問されると、マーカス氏は将来的には多くの銀行が参加する可能性が高いと答えた。
「それは意図的ともいえるし、そうではないとも言える。基本的に世界中でリブラのメンバーとなることへの関心は高い。第一に、金融機関は規制上の影響を見極めたいと考えている。リブラ協会が新しい会員を獲得していけば、多くの銀行が参加する可能性が高くなるだろう」
翻訳・編集 コインテレグラフ日本版