米規制機関、商品先物取引委員会(CFTC)の前委員長クリストファー・ジャンカルロ氏は、中国のデジタル人民元に対抗するため「デジタルドル」を立ち上げるべきだと提唱している。同氏が米大手メディア、ウォールストリートジャーナルにオピニオンを寄稿した。

ジャンカルロ氏は、CFTC委員長時代に仮想通貨への理解ある言動から「クリプトパパ」の愛称で呼ばれていた人物だ。

ジャンカルロ氏は、中国のデジタル人民元やフェイスブックの仮想通貨リブラの登場は、米国主導のグローバルな通貨システムにとっての「スプートニクショック」だと主張する。スプートニクショックとは、冷戦時代に宇宙開発で米国がソ連に遅れを取ったことだ。デジタル通貨についても、ライバルの出現がドルの優位性を脅かしていると強調する。

「米ドルへの挑戦は、米国人が長い間、当然と思っていた世界経済秩序を終わらせることになるかもしれない。この脅威に直面してもなお、変化しないならば、米国経済に永続的な損害を与えるリスクがある」

「海外の中央銀行やソーシャルメディアプラットフォームが今後数年間で、新しい通貨を発行するだろう。彼らのネットワークが成長するにつれて、国際通貨としての米ドルの地位を侵食する可能性がある」

ブロックチェーン基盤のデジタルドル

ジャンカルロ氏は、政府から独立した組織によって作成・維持され、政府が認可するブロックチェーンプロトコルを基盤とするデジタルドルを提唱する。

米ドルは、ブロックチェーン上でデジタルドルに交換され、FRB(米連邦準備制度理事会)が管理する特別なエスクロー口座に保管される仕組みだ。

これにより、米ドルが新しいデジタル時代に対応し、リブラやデジタル人民元とも競争できると主張する。

ジャンカルロ氏は、デジタルドル立ち上げのため、金融機関やテック企業、FRBといった主要な関係者が一致団結する必要があると訴えている。

中国のデジタル通貨は11月にも?

中国人民銀行は、独自のデジタル通貨を発行することを明らかにしている。既に中国国内でのテストを実施しているとも報道されている

一部報道では、11月11日の「独身の日」にスタートするのではないかともいわれている(中国人民銀行は報道を否定)。

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翻訳・編集 コインテレグラフ日本版