仮想通貨を使ったマネーロンダリングの罪で米国で起訴されているアレクサンダー・ヴィニック氏の弁護士によると、キプロスの地方裁判所がヴィニック氏に対する「詐欺、マネーロンダリング、その他の犯罪」の訴訟を却下した。ロシアの通信社 RIA Novostiが27日に報じた。

ヴィニック氏はロシアの仮想通貨取引所BTC-eの運営者だったが、米国の要請により滞在先のギリシャで逮捕され、拘留されている。米国のほか、フランスとロシアからも仮想通貨絡みの犯罪容疑で引き渡し要請が出ており、ギリシャ司法当局の決定を待っている状況だ。ヴィニック氏に関しては、日本の仮想通貨取引所マウントゴックスの事件への関与も取り沙汰されている

ヴィニック氏の弁護団の代表であるティモフェイ・ムサートフ氏は、キプロスのリマソール地方裁判所がヴィニック氏の申し立てを認め、「彼(ヴィニック氏)が被った訴訟費用を補償するよう」決定したと述べた。

「アレクサンダーに対する訴訟は、初期段階で却下された。重要なのは、告発された中身の脆弱性と、原告の脆弱性、そして訴訟が法的手続きに当たらないことが示されたことだ」

しかし、キプロスでの訴訟が却下したことで、ヴィニック氏の訴訟が終わったわけではない。ギリシャは現在、ロシア人であるヴィニック氏をフランス政府に引き渡すか否かを検討中だ。RIA Novostiによれば、引き渡しに関する控訴審は11月29日に予定されている。

2017年12月、ギリシャの最高裁はヴィニック氏を米国に引き渡すことを決定した。米国政府はヴィニック氏がビットコインを使って最大40億ドルのマネーロンダリングを行った罪で起訴されている。その一方でフランス政府からも仮想通貨の詐欺容疑で引き渡し要請が出ており、今年7月にギリシャの裁判所はフランスに引き渡す別な決定も行った

さらにロシア政府も、サイバー犯罪の容疑でヴィニック氏の引き渡しをギリシャに要請。ヴィニック氏の身柄の行方は不透明な状況となっている。

米国、フランス、ロシアの各国がヴィニック氏の引き渡しで綱引きを演じている中、ヴィニック氏本人は11月26日から当局への抗議のためのハンガーストライキを行っている