仮想通貨取引所ビットメックス(BitMEX)のアーサー・ヘイズCEOが、コインテレグラフ日本版の取材に答え、来年、ビットコイン(BTC)以外でイーサリアム (ETH)に注目しているとし、「反発を狙うことを忘れてはいけない」と述べた。

過去最高値から90%以上下落し、時価総額でリップル(XRP)に抜かされたイーサリアム(ETH)について、ヘイズ氏は次のように述べた。

「多くの人々がイーサリアムのプロトコルに致命的な欠陥があると信じているが、トレーダーと投資家はマーケットは直線的に動かないということを思い出す必要がある。去年の足手まといが今年のスターになることもある。反発を狙うことを忘れてはいけない

現在、イーサリアムのコミュニティーは逆風にさらされている。

先日、イーサリアム上のdApps開発などを牽引してきたコンセンシスが13%の人員削減に乗り出すことを発表。また16日には、イーサリアム(ETH)ベースのチャットプラットフォーム「ステータス(Status)」が、最近の仮想通貨市場低迷を理由にスタッフ25%の解雇に乗り出した

一方、2019年のビットコイン(BTC)の価格レンジについてヘイズ氏は、1000ドルから1万ドルと予測した。同氏は6月、米国証券取引委員会(SEC)がビットコインETF承認した場合、年末までに5万ドルまで急上昇すると予想したものの、11月に「現在の弱気相場は2020年春ころまで継続する」と予測を変更していた

ビットメックスは、100倍レバレッジが可能なことなどから投資家の間で人気の仮想通貨取引所だ。ヘイズ氏によると、ビットメックスは今年、24時間の出来高が85億ドルと過去最高を記録したほか、2014年の設立以来、出来高の合計が1兆ドルを突破したという。

来年の注目はSTOとステーブルコインだが…

来年のトレンドとして注目されるセキュリティ・トークン・オファリング(STO)とステーブルコインについてヘイズ氏は、「来年は投資家にとって魅力的なサイレン」になると同意したものの、その理由については冷ややかな見方をしている。

(セキュリティー・トークンとステーブルコインの)存在意義には欠陥があるものの、現在苦境の投資家は、楽に金持ちになる手段と信じており、しがみつくだろう

セキュリティトークンは、現実のアセットを裏付けとして発行されるトークン。トークン保有者に収益を分配するなど、セキュリティ(証券)に近い性質を持ち、金融商品関連法令に従って金融商品として発行される。イニシャル・コイン・オファリング(ICO)市場が低迷する中、業界ではSTO市場が脚光を浴びている。

また最近、ビットコインなど仮想通貨より安定した価値の提供を目指すステーブルコインの勢いが増している。11月のステーブルコインのオンチェーンでの取引高は、9月と比べて1000%増加したというレポートが出たほか、主要取引所もステーブルコインを相次いで上場させている。