企業によるデジタル資産トレジャリー(DAT)は、今後市場の成熟に伴い、大手数社に集約される可能性が高いと、コインベースの投資調査責任者デービッド・ドゥオン氏が語った。
ドゥオン氏は、株価上昇策以外にも「企業は成熟したDATサイクルの段階に近づくにつれ、最近のストライブによるセムラー・サイエンティフィック買収のようにM&Aに動き出す可能性がある」とコインテレグラフに述べた。
資産運用会社からビットコイン・トレジャリー企業へ転換したストライブは9月22日、トレジャリー企業セムラー・サイエンティフィックを株式交換により買収すると発表した。
同時にドゥオン氏は、DATがステーキングやDeFiルーピング(同じ資産を繰り返し借り入れ・再投資して利回りを増幅させる手法)といった仮想通貨ネイティブの戦略にも積極的に取り組んでいると指摘した。
「まだできることは数多く残されている。今後の行方は規制動向、流動性、市場圧力によって大きく左右される」と述べた。
スタンダードチャータードは9月15日に、すべてのDATが長期的に生き残れるわけではなく、新たな戦略の採用を迫られるか、消えていく可能性があるとの見通しを示している。
トークンごとの覇権競争へ
ドゥオン氏とコインベースのコリン・バスコ氏は9月10日のレポートで、DAT競争は「プレイヤー同士の直接対決」の段階に入り、各社が差別化を図ろうとしていると分析した。
最近のDATによる自社株買いも、この競争の表れだとドゥオン氏は述べた。
トランプ・ジュニア氏関連のメディア企業サムザップはビットコイン(BTC)とドージコイン(DOGE)を保有しているが、9月24日に自社株買いを100万ドルから1000万ドルへ拡大すると発表。ソラナ(SOL)のトレジャリー企業DeFiディベロップメントも同様に、100万ドルから1億ドルへと規模を拡大した。
「企業サイドは各トークンにおいて最終的に大手数社だけが覇権を握ると考えており、規模や金融技術で差別化を競っている」とドゥオン氏は語った。
一方で、各社が仮想通貨の追加購入よりも株価押し上げを優先したた、こうした動きは9月中旬から下旬にかけての価格下落にもつながった可能性があると指摘した。
自社株買いは成功を保証せず
DATの中には株価維持に苦戦する企業もあり、時価総額の90%を失った例もある。これは市場の飽和や持続性への懸念が背景にあるとされる。
ドゥオン氏は「自社株買いが必ず株価上昇につながるわけではない。市場が企業の長期的な健全性に疑念を抱けば逆効果になる」と強調した。
「自社株買いの効果は投資家が企業のファンダメンタルや資本配分戦略、透明性をどう評価するかにかかっている」と述べ、9月12日に自社株買いを発表したTONストラテジーの株価が7.5%下落した事例を挙げた。
DATの保有資産規模
DATによるビットコイン保有は140万BTCを超え、総供給量の約6.6%に相当し、1660億ドル以上の規模となっている。
さらに、イーサリアムでは68社が合計549万ETH(約240億ドル、総供給量の約4.5%)を保有。ソラナについても、9社が1340万SOL以上(約30億ドル相当)を保有している。
bitbankで新規口座開設後、1万円の入金でもれなく現金1,000円プレゼント!【PR】