仮想通貨取引所コインベースの2025年第1四半期の売上高は、前四半期比で10%減の20億ドルとなり、業界予想を4.1%下回った。これは市場全体の取引活動の鈍化が要因とされている。

純利益は前四半期の12億9000万ドルから大幅に減少し、6600万ドルに落ち込んだ。主な原因は、保有する仮想通貨に関する5億9600万ドルの評価損が計上されたためだ。

一方、1株当たり利益は1.94ドルとなり、市場予想の1.85ドルを上回った。

5月8日に発表された決算資料によると、取引収益は四半期比で18.9%減の12億6000万ドルに、取引高も10.5%減の3930億ドルに落ち込んだ。これは、市場全体の時価総額が二桁減少したことに加え、トランプ政権による関税政策が影響したとされる。

対照的に、2024年第4四半期の価格上昇には、同年11月のトランプ氏当選が主な要因の一つと見られていた。

Key financial metrics for Coinbase in Q1. Source: Coinbase

一方、サブスクリプションおよびサービス収益は8.9%増の6億9810万ドルに達し、なかでもステーブルコイン関連の収益が大きな貢献を果たした。

売上高と取引高が減少するなかでも、コインベースはスポットおよびデリバティブ取引の世界市場におけるシェアを拡大し、アルゼンチンやインドなどの新興市場でも「重要な登録」を取得して存在感を高めているという。

規制対応に関しては、米証券取引委員会(SEC)との訴訟が却下されたことについて、「バランスの取れたイノベーション寄りの規制に対する司法上の大きな勝利」と表現し、「仮想通貨を主流に押し上げる取り組みが前進した」としている。

デリビット買収が成立へ

5月8日、コインベースは仮想通貨デリバティブ取引プラットフォームのデリビットを29億ドルで買収することで合意した。これは仮想通貨業界で過去最大規模の企業買収とされている。

この買収により、これまで限定的な提供にとどまっていたコインベースのデリバティブ取引事業は、世界規模へと大きく拡大する。

同社によれば、デリビットは2024年に取引高1兆ドル超を記録し、現在約300億ドルの建玉(オープン・インタレスト)を保有しているという。

コインベースはこの取引により、「仮想通貨デリバティブ取引における世界的リーダーとなった」と発表した。

競合のクラーケンも、今年3月に先物ブローカーのニンジャトレーダーを15億ドルで買収する契約を結んでおり、同様の動きを見せている。

デリビット買収の報道を受けて、5月8日のコインベース株(ティッカー:COIN)は5.1%上昇したが、決算発表後の時間外取引では3.1%下落した。

Coinbase’s change in share price on May 8, including after-hours. Source: Google Finance

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