コインベースのブライアン・アームストロングCEOは、仮想通貨デリバティブ取引所デリビットの買収を発表した後も、引き続き買収・合併(M&A)の機会を探っていく方針を示した。
アームストロング氏は5月14日、ブルームバーグ・テレビのインタビューで「我々は常にM&Aの機会を探している」と述べた。
同氏によると、コインベースは潤沢なバランスシートを有しており、それを積極的に活用する準備があるという。最新の決算によれば、2025年第1四半期末時点での同社の米ドル建て資産は99億ドルに達している。
「上場企業であることの利点のひとつは、流動性のある資金をM&Aに活用できること」と述べたうえで、「あらゆる案件に飛びつくわけではなく、真に価値のある案件を見極めていく」と語った。
コインベースは5月8日、仮想通貨デリバティブ取引所デリビットの買収に合意したと発表。買収総額は29億ドルで、そのうち7億ドルが現金、残りはコインベース株1100万株で構成されている。
この買収は、仮想通貨業界で過去最大規模とされ、コインベースが収益性の高い仮想通貨デリバティブ市場に本格参入し、グローバル展開をさらに加速させることになる。
アームストロング氏は、国際的な買収機会、とくに「同様の理念を持ち、プロダクト開発と成長を加速できる企業」に注目していると語った。
一方で、パートナーでもあるステーブルコイン発行企業サークルの買収について問われた際には、「発表することは何もない」と述べるにとどまった。サークルは現在、上場を目指している。
なお、米フィンテック企業リップルは4月下旬、サークルの買収に向けて最大50億ドルの提示を行ったが、サークルはこれを拒否したとブルームバーグが報じている。
コインベース株、S&P500採用決定で急騰
コインベースは5月19日、米国の代表的な株価指数であるS&P500に初めて採用される仮想通貨企業となる。
S&P500は米国の上場企業の中で時価総額の大きい500社の株価を追跡する指数であり、インデックスファンドやパッシブファンドを通じた幅広い投資家からの資金流入が期待される。
コインベースの株価(ティッカー:COIN)は、5月14日の時間外取引で2.5%上昇し263ドルに達した。5月に入ってからの上昇率はすでに30%を超え、今回の発表を背景に過去1か月で約50%の急伸となっている。