米国最大の仮想通貨取引所コインベースが6日、米国証券取引委員会(SEC)に認可されたブローカー・ディーラーになるべく動き出したことを明らかにした。これによりコインベースは、「規制当局と協力して既存の金融商品をトークン化」し、企業と投資家のために「資本市場を民主化する」という展望を示した。

 今回の動きは、証券業者のキーストーン・キャピタル、ヴェノヴェテ・マーケットプレースとデジタル・ウェルスの買収によって実現。買収によってコインベースの事業領域を拡大して、仮想通貨以外の金融商品も扱えるようになる。コインベースのアシフ・ヒルジ社長兼COOは、次のように話した。

「もし認可されたら、コインベースは、SECと金融取引業規制機構(FINRA)の監督下でブロックチェーンを基盤にした証券をすぐに提供できるようになる。この大きな一歩は、ブローカー・ディーラーのライセンスを取得することで実現する」

 2000万人以上のユーザーを抱え、取引高が1500億ドルに上ると報じられるコインベースは、SECに認可された仮想通貨証券の上場に向けて「軌道に乗った」としている。

 「米国で認可されたブロックチェーン証券取引所になるための軌道に乗ったことを発表できて非常に嬉しい。コインベースだけでなく、仮想通貨のエコシステム全体にとって重要な瞬間だと確信している」

 これによりコインベースは、SECの規制下でブロックチェーンを基盤にした証券の取引を目指す取引所の仲間入りを果たすことになる。ペンシルベニア州を拠点とするサスケハナも、仮想通貨とビットコイン先物取引を目指して先日ブローカー・ディーラーの免許を修正した。サスケハナは一部の顧客から仮想通貨を提供し、将来的にはサービスを広げる計画を立てている。

 また個人間決済プラットフォームを手掛けるサークル・インターネット・ファイナンシャルは、銀行ライセンスを取得して、SECに証券会社および取引所として登録することを目指している。実現すれば、同社は証券とみなされるトークンを販売できるようになる。同社のロバート・ベンチCOOは、銀行ライセンスの取得によってやり取りする規制当局の数が大幅に削減できると期待を寄せている。

 コインベースは今週初め、日本の仮想通貨市場に参入する計画を発表。金融庁に登録を申請すると明かした。コインベースは三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と組んで日本で事業を拡大する方針だ。MUFGは2004年以降、三菱UFJ銀行と三菱UFJキャピタルを通して10億円以上をコインベースに出資してきた。 

 ただコインベースは、350万人の仮想通貨トレーダーを擁する世界最大の仮想通貨市場である日本において、厳しい競争にさらされることになるかもしれない。現在日本では16の仮想通貨取引所が登録されている。日本最大の取引所だったコインチェックの4半期利益は1億5000万ドルと推定されている