銀行大手のシティグループは、米州開発銀行(IADB)と共同で開発を進めているブロックチェーンを基盤とした国際送金システムの試験運用を成功裡に終えた。

8日の発表によると、シティグループ傘下のシティ・イノベーションラボとIADBは、ラテンアメリカ・カリブ海地域(LAC)におけるブロック チェーンエコシステムである、LACChainブロックチェーン・ネットワークを利用し、米国からドミニカ共和国在住の受取人に向けた国際送金を複数回にわたって実現した。LACChainブロックチェーン・ネットワークは、IADBの地域プログラムであるLACChainによる独自の取り組みである。

IADBのブロックチェーン専門家兼LACChainの技術責任者であるマルコス・アレンデ氏は、IADBはこのプロジェクトの一環としてトークン化された米ドル建の資金をシティの口座に預け入れ、デジタルウォレットを利用してその資金を送金したと説明し、「トークン化された資金は、送金後にシティが確立した為替レートで現地通貨であるドミニカペソに変換された」と、述べている。

このブロックチェーンを基盤とする国際送金システムの試験運用が成功したことで、IADBは、取引、為替レート、および手数料の追跡履歴を瞬時に提供することが可能となり、米国からラテンアメリカならびにカリブ海諸国への新しい国際送金の手段となる可能性がある。

IADBラボの最高経営責任者であるアイリーン・ホフマン氏は、「包括的な国際決済システムは、政府開発援助や国際送金など、多岐にわたる応用が可能です。それらが私たちの地域経済、ひいては、送金を受け取る最終受益者と家族にとって非常に重要であることは間違いありません」と、述べている。

IADBは、ラテンアメリカとカリブ海諸国の社会・経済開発、地域統合を支援する国際組織である。その使命を果たすため、IADBは、ブロックチェーン技術の研究を積極的に進めており、19年には、同組織のイノベーションラボであるIDBラボが、ブロックチェーンに特化したLACChainプログラムを立ち上げている

オープンソースであるLACChainは、コンセンシス社が開発し、ハイパーレジャー・コミュニティによって維持されているハイパーレジャー・ベスのプラットフォーム上で運営されている。