中国の国営通信社である新華社は22日、最初の非代替性トークン(NFT)コレクティブズを発行した。中国政府ではNFTに対する警戒感も示していたが、新華社の発表によれば、2021年にジャーナリストが撮影した写真をNFT化して公開する予定だ。

NFTへの進出は、中国の最近の動向に照らし合わせると不可解な動きだ。中国ではビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨のマイニングが禁止され、最近ではNFTやメタバースを厳重に監視すると表明している。その一方で、中国のテック大手のテンセントやファーウェイは、メタバース関連の商標を取得している

また仮想通貨を巡っては、中国では取り締まり強化の一環で、ChainNewsなどのウェブサイトが閉鎖された。中国の仮想通貨メディアでは、ウェブサイトではなく、ツイッターやテレグラムといったSNSに移行するようになっている

NFTについては、香港メディアのサウスチャイナモーニングポスト(SCMP)が7月に「ARTIFACT」と呼ばれる新しいトークン標準を使用してNFTを作成してる。ただSCMPは中国本土ではなく、香港を拠点にしていることに留意する必要があるだろう。

香港ではブロックチェーンやNFTを活用する動きが活発だ。今年6月、香港の民主活動家は、民主化系新聞の記事をブロックチェーン上でアーカイブ化している。ブロックチェーンストレージプラットフォームのARWeaveにアップルデイリーの記事がアップロードされた。

最終的に、新華社のNFT発行は、中国でのNFTに関する空気が変わったことを示すものになるのだろうか。記事執筆時点で中国でのNFTの取引活動は制限されたままだ。NFTを取引する際に使用できる通貨は人民元だけであり、一度購入すると転売することはできない。中国政府の反仮想通貨のスタンスを考えると、より多くの証拠が必要になるだろう。