中国の中央銀行と香港金融管理局(HKMA)は、クロスボーダーペイメントのためにデジタル人民元を試験運用する準備段階にある。これは中国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)の展開における、1つの重要な進展になる可能性がある。

HKMAのウェブサイトに12月4日に掲載された発表の中で、HKMAのエディー・ユー長官は、中国人民銀行(PBoC)との間で、デジタル人民元(e-CNY)のテストを実施するための協議を行っていることを明らかにした。

「HKMAと中国人民銀行デジタル通貨研究所は、クロスボーダーペイメントを行うため、PBoCによって発行されたデジタル人民元、e-CNYを使用する技術パイロットテストについて協議しており、対応するための技術的準備を行っている」

ユー氏は、「人民元はすでに香港で使用されており、e-CNYのステータスは現金流通と同じであるため、香港と中国本土の観光客にさらなる恩恵をもたらす」と述べている。

中国はCBDC開発の最前線となっており、11月はじめの時点でデジタル人民元のパイロット実験では3億ドル相当の取引が既に処理されている。最初のパイロットプロジェクトは4月に4つの都市で展開されたが、その後9つの都市に拡大されている

香港については、中国本土とは別に過去3年間にわたってCBDCのユースケース開発を続けていた。ユー氏が発表の中で説明しているように、クロスボーダーペイメントのため、2019年にはタイ銀行との間で共同プロジェクトを開始している。ユー氏は、このプロジェクトが、ビジネスアプリケーションや3つ以上のCBDCの参加を可能にするプラットフォームの操作性やスケーラビリティを調査するための「第2段階」に入ったと説明している。

長期的には、ユー氏はこの地域で統合されたクロスボーダーペイメントのプラットフォームを構築することが目標であると述べている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン