中国のサイバー防衛機関である国家コンピュータウイルス緊急処理センター(CVERC)は、かつて中国の主要ビットコイン(BTC)マイニングプールの1つだったルビアン(LuBian)を襲った数十億ドル規模のハッキング事件について、米国政府が関与した可能性があると主張した。
CVERCは11月9日、12万7272BTCが盗まれたルビアン事件に関する分析報告書を発表した。
この事件は2020年12月に発生したが、長らく公には知られていなかった。仮想通貨分析プラットフォームのアーカムが今年8月、「史上最大のビットコインハッキング」として報告したことで注目を集めた。
CVERCの報告書は、米司法省が10月中旬にプリンス・グループ創業者チェン・ジー氏の関連資産として12万7271BTCの没収訴訟を提起した直後に発表された。チェン氏は、ルビアンがハッキングされる前にこれらのBTCを保有していたとされる。
米政府が「すでに保有していた」との記載
米司法省の起訴状によると、没収申請が正式に提出された時点(10月中旬)には、米政府がすでにこれらの資産を保管していたという。
「これらの資金は現在、米国政府の管理下にある」と文書には記されており、司法省史上最大規模の資産没収事件だと強調している。
CVERCは、米政府がどのようにして資金へアクセスしたのかを起訴状で明らかにしていない点を問題視。「米国は少なくとも1年以上前からこれらの資産を掌握していた」と指摘し、その根拠としてアーカムのデータを引用した。
アーカムによると、「LuBian.com Hacker」とラベル付けされたウォレットから、2024年7月5日に12万576BTC(保有分のほぼ全て)が「US Government: Chen Zhi Seized Funds」とラベル付けされたアドレスに送金されていた。
CVERCは、この資金移動をもって「盗まれたビットコインが4年間ほぼ完全に休眠していた後、米政府により完全に掌握された」と結論づけた。
CVERCは報告書で次のように指摘した。
「通常のハッカーであれば利益を求めてすぐに換金を試みる。しかし、4年間にわたる不自然な休眠期間は金銭目的の犯罪者とは整合しない。これは国家レベルのハッキング組織による精密な作戦と考える方が自然だ」
さらに報告書では、チェン氏とプリンス・グループが1回あたり約23ドルのビットコイン送金を使って、ハッカーアドレスに懇願メッセージを送り続けたことも明らかにした。報奨金を提示して資金返還を求めたが、返信はなかったという。
アーカムの分析によれば、ルビアン事件に関連するビットコインは、米政府関連ウォレットが保有するBTC(32万6500BTC)全体の39%を占めるという。
実際、米中は、仮想通貨・デジタル通貨の覇権をめぐりつばぜり合いを繰り広げている。
米国のトランプ大統領は11月2日にCBSニュース「60ミニッツ」でのインタビューにおいて、「米国は仮想通貨採用で中国や他の国々よりはるかに先を行っている」と発言した。
「中国も今や大規模に参入しているが、我々はさらに前を走っている」と述べ、両国間のデジタル金融競争を強調した。
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